ドイツのインダストリー4.0が大きな注目を集める中、工作機械にもIoTを積極的に活用する動きが出てきている。軸受部品を展開するシェフラーと、工作機械メーカーのDMG森精機は工作機械のインダストリー4.0対応を目指す「マシンツール4.0」プロジェクトを推進している。
ドイツのインダストリー4.0をはじめとする、製造現場のIoT(Internet of Things、モノのインターネット)が加速している。インダストリー4.0は、ドイツ連邦政府が主導するモノづくり革新プロジェクトで、自律的に工場の製造装置が最適な判断を行って、生産を行うような姿を理想像としている。
自動車用部品や、産業機械用の軸受部品などを提供するドイツのSCHAEFFLER(シェフラー)では、こうしたインダストリー4.0の流れの中、同社の機器から発するデータを収集し、このデータを基に新たなサービスを生み出すというような新しいデジタル化の動きを目指す方針である。
シェフラージャパン 産業機械事業部 プレジデントの金泳圭氏は「2016年4月にドイツで開催された製造技術の展示会ハノーバーメッセでは、産業機械メーカーがICTパートナーと組み、ソリューションを提示する動きが多く見られた。産業分野のトレンドは大きく変革したといえる。シェフラーはベアリングメーカーだが、IoTとしてネットワークにつなげることで、製品寿命をのばすなど新たな付加価値を生み出すことができる。こうした新しいデジタルワールドに取り組んでいく」と述べている。
こうした流れの中、シェフラーでは自社のベアリング製品のセンシングを起点とし、これらのデータの収集と解析、これを基にした稼働監視と予知保全と最適化というサイクルを実現する方針だ。さらにこれらのサイクルで得られた知見から状態監視や修理、潤滑サポートなどの保守・メンテナンスサービスの高度化に取り組む。
さらに、こうしたサービスビジネスを実現するためには自社の体制や業務プロセスの改革も必要となる。シェフラーでは、70のデジタル化ソリューションプロジェクトを推進していたが、こららを5つのブロックに集約して、新たなデータベースのサービスビジネスを実現するために取り組みを進めているところだという。
こうしたビジネスモデル実現のため、DMG森精機と共同で取り組む実証プロジェクトが「マシンツール4.0」である。
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