さらにいえば、こうした故障予知を前提とした取り組みというのは、完成品を組み上げるメーカーにとどまる話ではない。部品メーカーにとっても同様のことがいえる。カギとなるパーツでしか取得できない製品内の情報もあり「該当部品がセンシングを行うことで、故障の予知が可能となる」というような状況もあり得る。
例えば、モーターメーカーのオリエンタルモーターでは、従来はサーボモーターなどの稼働データの取得はモーターの回転位置の把握のみとしていたが、トルクや温度、積算走行距離などを取得できるようにした「αSTEP AZシリーズ」を展開。センシングするデータの種類を増やすことで、この故障予知環境への適用を訴えている。また、電源メーカーのコーセルでは、スイッチング電源に通信機能を内蔵し、電源関連情報を遠隔監視および制御できる技術を提案している。このように部品メーカーにとっても、自社の製品に新たなセンシング機能や通信機能を加えるだけで、新たな価値を提供するという動きが出始めている。
2018年は、こうした故障予知を実現するために、メーカーや部品メーカーなどがそれぞれ協力して取り組みの幅を広げていくような動きがさらに進むものとみられ、それにより有効な故障予知の仕組みが組み込まれた製品やサービスが送り出される見込みだ。
こうした各製品や部品の故障データなどが求められる環境というのは、ある意味で過渡期だからこそ生まれているチャンスだといえる。今後製品における故障と関連性のあるセンシングポイントや相関性などが次々に解き明かされていけば、故障予知を行えるアルゴリズムなどが完成されてくることになる。そうなってしまえば、個々の故障データはもしかすると必要ない状況になるかもしれない。
しかし、現状では自社が試験データとして把握するデータを提供することやそれらによりアルゴリズムごと提供することでも可能である。メーカーにとっては、こうしたチャンスに対して、どういうアプローチを取るのかが問われる1年になるだろう。
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