自律ロボットで多コアIPCが活躍、ベッコフの訴える未来と現実SCF2017

ベッコフオートメーションは「SCF2017/計測展2017 TOKYO」において、デンソーウェーブやエクサウィザーズなどと共同開発した「マルチモーダルAIロボット」を出展。AIやVRを活用した最新技術と制御技術の融合による自律化の価値について訴えた。

» 2017年12月19日 14時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 ベッコフオートメーションは「SCF2017/計測展2017 TOKYO」(2017年11月29日〜12月1日、東京ビッグサイト)において、デンソーウェーブやエクサウィザーズなどと共同開発した「マルチモーダルAIロボット」を出展。AIやVRを活用した最新技術と制御技術の融合による自律化の価値について訴えた。

photo ベッコフオートメーションブースに出展された「マルチモーダルAIロボット」(クリックで拡大)

先進的な「マルチモーダルAIロボット」

 ベッコフオートメーションらが開発した「マルチモーダルAIロボット」は、多指ハンドを装着した双腕型ロボットアームを、ディープラーニングで得たアルゴリズムによってリアルタイムで制御するAI(人工知能)ロボットである。ロボットアームに用いた7軸ロボットはデンソーウェーブ、6軸の自由度を持つ多指ハンドはベンチャー企業のエクシー、ディープラーニング関連の技術はエクサウィザーズ、ディープラーニングの学習に用いるVR(仮想現実)ソリューションはBOX VR、ロボット制御とディープラーニングやアルゴリズムの連携を行うシステムはベッコフオートメーションが提供した※)

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photo イクシーの力触覚提示デバイス「EXOS」。バーチャルで物体に触れた感覚を示す(クリックで拡大)

 人の形を模した双腕型の多指ハンドにより、人の作業をそのまま置き換えることが可能。これを前提とし、VRシステムと触覚デバイスを活用することで、作業したい内容について“やってみせる”ことで、プログラミングをせずにディープラーニングアルゴリズムが得られる点が特徴である。

 さらに、全てのハードウェアやソフトウェアが汎用(はんよう)品で実現されている点もポイントだ。ロボットアームや多指ハンド、システムを搭載する産業用PC(IPC)などの他、通信プロトコルとしては「ORiN」と「EtherCAT」を活用している。ベッコフオートメーション代表取締役社長の川野俊充氏は「汎用品だけで作り上げたということが重要だ。ディープラーニングを活用した自律型のロボットというと将来のものというイメージもあるが、既に現実にある技術を組み合わせることで、こうしたことが実現できる段階に入ってきている。こうした状況を元に、製造現場や制御の現場がどう変化していくのか想像を膨らませてもらいたい」と述べている。

メニーコアIPCの真価

 ベッコフオートメーションにおいて、「マルチモーダルAIロボット」のシステムを「現実にある技術」として底支えしたのが、Intel Xeon Dプロセッサを搭載する最大36コアの産業用PC(IPC)「C6670」シリーズである。「C6670」シリーズは処理能力による速度だけでなく、ベッコフのソフトウェアPLC/NCのTwinCATと組み合わせる事で、コアごとに機能を割り振れるという利点を持つ。いちいちハードウェアを追加するのではなく、コアごとに機能を割り振ることで柔軟な対応が可能だ。今回の「マルチモーダルAIロボット」でもその点を生かした。

 制御系はCPUで「TwinCAT」を駆動し、ディープラーニング系はGPUで「Python」を活用。VRについてもGPUで「Unity」を駆動させている。「これらをリソースによって配分を変更したり、組み替えたりすることが用意である点がメニーコアの利点でもある」と川野氏は述べている。

 同社では、この「マルチモーダルAIロボット」の他にも、制御とロボットを同じコントローラーで制御するデモなどを披露していたが「制御技術もどんどんソフトウェア化が進んでいき、ソフトウェアで変化を吸収する時代になってきている。その中でハードウェアには基本的な能力の他、汎用性や柔軟性が求められるようになる」と述べている。

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