ファナックとPFNが深層学習でキズ検査にも取り組む、バラ積み取出しは準備万端2017国際ロボット展

ファナックは、「2017 国際ロボット展(iREX2017)」において、Preferred Networks(PFN)と共同開発しているディープラーニング(深層学習)技術の最新成果を披露した。

» 2017年12月01日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 ファナックは、「2017 国際ロボット展(iREX2017)」(2017年11月29日〜12月2日、東京ビッグサイト)において、Preferred Networks(PFN)と共同開発しているディープラーニング(深層学習)技術の最新成果を披露した。

 両社は、産業用ロボットなどを用いたモノづくりのさまざまな工程の改善を目的に、ディープラーニングを用いたAI技術の開発を進めてきた。最も広く知られている事例が、3Dセンサーで取得した画像データを基に、産業用ロボットによるバラ積みした部品のピッキングをティーチングなしで行えるようにする「深層学習バラ積み取出し」だろう。

 深層学習バラ積み取出しについては、2018年春に国内発売を予定しているファナックの製造現場向けIoTプラットフォーム「FIELD system」のアプリケーションとしてほぼ同時にリリースする計画である。iREX2017における展示内容は、従来と変わらないものの、アプリケーションをFIELD system向けのコントローラー「FIELD BASE Pro.」に組み込んで実動作させている点が異なる。

「深層学習バラ積み取出し」のデモ部品の取り出し順チューニングを深層学習 「深層学習バラ積み取出し」のデモの様子。ロボットの左側にある「FIELD BASE Pro.」で動作している(左)。部品の取り出し順チューニングのアルゴリズムを深層学習で生成する。学習時間は6時間程度で済むという(クリックで拡大)

 新たな開発成果となるのが「深層学習キズ検査」だ。あらかじめ用意したキズのない良品画像とキズのある不良品の画像を用意しておき、ディープラーニングによる学習でキズの有無を自動で判定するアルゴリズムを生成する。実運用時には、ロボットが検査対象を把持して固定カメラで撮像し、アルゴリズムを基に良否を判定するというものだ。

 デモでは、スマートフォンの側面保護カバーを使って良否を判定する様子を見せた。なお、深層学習キズ検査は開発中の技術で、今回のデモは一般的なPC上で動作させている。「FIELD systemのアプリケーションを含めて、さまざまな展開を検討している」(同社の説明員)という。

「深層学習キズ検査」のデモの様子深層学習で得たアルゴリズムで良否を判定 「深層学習キズ検査」のデモの様子。(左)。深層学習で得たアルゴリズムにより、良否を判定する(右)(クリックで拡大)

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