“行かない”巡回点検で報告書作成、見積もりに隠れたコストの見える化もものづくり ワールド[東京]2025

バルカーは「第37回 ものづくり ワールド[東京]」の構成展の1つ「設計・製造ソリューション展」において、新たな現場DXサービスを紹介した。

» 2025年07月24日 07時30分 公開
[長沢正博MONOist]

 バルカーは「第37回 ものづくり ワールド[東京]」(会期:2025年7月9〜11日/会場:幕張メッセ)の構成展の1つ「設計・製造ソリューション展」において、新たな現場DX(デジタルトランスフォーメーション)サービスを紹介した。

報告書も作れるSmart巡回点検サービス

 バルカーは工業用ガスケットやフッ素樹脂、高機能ゴム製品といった産業用シール製品を製造、販売。近年は新規事業として設備の定期点検や状態監視を一元管理する「MONiPLAT(モニプラット)」や、樹脂加工品の見積もり、発注を迅速化する「Quick Value(クイックバリュー)」など、現場向けDXサービスを展開している。

 今回は、MONiPLATで新たに提供する「Smart巡回点検サービス」を訴求した。MONiPLATは、紙に記録していた設備点検記録を、スマートフォンやタブレット端末のアプリケーションに置き換え、点検報告書の作成、承認までデジタル化する。ただ、作業者は従来通り、巡回点検して計器などの前まで行く必要があった。

Smart巡回点検の概要 Smart巡回点検の概要[クリックで拡大]出所:バルカー

 Smart巡回点検サービスでは、計器の値などを読み取るセンサーを取り付け、遠隔監視することでデータの収集および点検報告書の作成までを可能にし、巡回点検そのものを減らすことができる。

「人手不足が進む中で、現場まで点検に行く間隔を延ばしたり、回数を減らしたりすることで点検作業の効率化につながることを期待している。われわれが提携メーカーのセンサーを付けて、MONiPLATまでデータを送信する環境を構築するサービスも検討している」(バルカーの説明員)

Smart巡回点検のイメージとして、センサーで取得した会場の二酸化炭素の値をMONiPLATに表示[クリックで拡大]

加工費や段取り費を見える化して設計改善

 Quick Valueは、フッ素樹脂加工品の3Dや2D、手書きの図面をアップロードするだけで、原則2時間以内に見積もりが得られるサービスだ。今回は新たな「コストレポート機能」を初公開した。

 コストレポート機能は見積もりと合わせて、素材費、加工費、段取り費などの内訳を即時に分析し、数値化する。これにより、これまで属人的だったコスト判断を“見える化”し、設計改善や調達判断の質を飛躍的に高めることが可能になるという。

「隠れていた内訳をガラス張りにすることで、設計部門が“今回の設計はどこにコストがかかっているのか”を正しく捉えて、次の設計に向けてフィードバックできる。現在はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のみだが、2025年中には他の素材にも対応したい」(バルカーの説明員)

Quick Valueの概要 Quick Valueの概要[クリックで拡大]出所:バルカー
段取りや加工の内訳を表示 段取りや加工の内訳を表示[クリックで拡大]出所:バルカー

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