東芝デジタルソリューションズは、ユーザーイベント「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2017」において、製造業向けIoTソリューションを訴求。ビジネスとデータの連携させて変革を進める重要性を訴えた。
東芝デジタルソリューションズは、ユーザーイベント「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2017」(2017年11月9〜10日)において、製造業向けIoTソリューションを訴求。ビジネスとデータの連携させて変革を進める重要性を訴えた。
東芝グループでは、経営再建に向けた動きの中で事業会社の分社化を進め、2017年7月から社内カンパニーだった旧東芝インダストリアルICTソリューション社は分社し、東芝デジタルソリューションズとなった。
「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR」は従来インダストリアルICTソリューション社が単独で実施していたが、今回からは2017年10月に分社した東芝エネルギーシステムズなどをはじめ東芝およびグループ各社と共同で実施することになったという。
東芝デジタルソリューションズ インダストリアルソリューション事業部 デジタルトランスフォーメーション推進部 担当部長の福本勲氏は「IoTの活用を推進していく中でデジタルツインなどを訴求してきたが、データやファクトだけを集めても価値は生まれない。ビジネス設計にこれらをどう関連付けるかということでようやく価値が生まれる。そのため共同での開催としてより産業やビジネスに結び付けた形で訴求した」と述べている。
その中でも特に力を入れるのが「ものづくりIoT」である。
東芝グループでは2014年10月に、東芝インダストリアルICTソリューション社のさらに前身である東芝ソリューションが「次世代ものづくりソリューション」について発表。以前から展開してきたPLMシステムやプロジェクト管理システムなどで使っていたブランド「Meister(マイスター)」を再定義し、IoTによるビジネス変革に必要なアプリケーション群を「Meister」ブランドで整備してきた。
さらに2016年11月にはIoTアーキテクチャ「SPINEX」を発表した(※1)。SPINEXは、同社が蓄積してきたノウハウにもとづく信頼性の高い機器と、産業領域の現場の知見を融合したIoTアーキテクチャとなる。現場でのリアルタイム処理とクラウドを組み合わせるエッジコンピューティングの仕組みや、デジタル上に現場の機器を再現して遠隔監視で状態を見守り、いち早く問題発生の兆候を捉えるデジタルツインを構築できるとしている。
(※1)関連記事:新たなアーキテクチャを軸としてIoT事業の展開を加速
特にこれらのエッジからクラウドまで活用できるデータモデリングが特徴となっており、これらが評価を受けたことでデンソーとの協業なども2017年4月に発表している(※2)。
(※2)関連記事:デンソーと東芝が協業拡大、自動運転に加え「IoTを活用したモノづくり」も
福本氏は「データをビジネスとどう結び付けて活用するかという観点に立った場合、重要になるのはデータモデリングである。単純にデジタルツイン化してバーチャル空間に物理空間を再現するだけでは足りない。東芝ではOT(制御技術)やエッジの情報とICT(情報通信技術)の両面での技術力や経験があるため、活用できるデータに整形し、活用を見据えたデータづくりが行える。さらにこれらをワンストップのデータプラットフォームとして提供できることが強みだ」と述べている。
さらに得られたデータを分析し活用するためのAI(人工知能)技術も整備。音声認識、音声合成、翻訳、対話、意図理解、画像認識(顔・人物画像認識)などのメディア知識処理技術などを備えた、コミュニケーションAI「RECAIUS(リカイアス)」を展開してきたが、新たに2017年10月に分析や学習を重点的に担うAIとしてアナリティクスAI 「SATLYS(サトリス)」を発表した。
「SATLYS」は、AI技術を活用し、高精度な識別、予測、要因推定、異常検知、故障予兆検知、行動推定などを実現するもの。大規模な画像分類や数万次元を超えるビッグデータ解析や、少数の学習データでも高精度な推論が可能な学習データの自動生成、異常要因の可視化による直感的な説明性などを実現するとしている。
これらは既に東芝メモリ 四日市工場における半導体製品の歩留まり監視などに活用されてきた技術だが、それらに他の分析技術なども組み合わせて「SATLYS」として体系化した。
福本氏は「既に過去から保有してきた技術だが体系化したことで、コミュニケーションと分析それぞれで位置付けを明確化できる。ビジネスへのデータの活用という点でAIの果たす役割は大きい」と考えを述べている。
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