パナソニックは2017年度第2四半期の決算を発表。事業部門だけを見た場合、全部門での増益を実現するなど、好調な結果を示した。
パナソニックは2017年10月31日、2018年3月期(2017年度)第2四半期の決算を発表。事業部門だけを見た場合、全部門で増益を実現するなど、好調な結果を示した。
パナソニックの2018年3月期(2017年度)第2四半期決算(4〜9月)は、売上高が前年度比9%増の3兆8579億円、営業利益が同10%増の1966億円、税引前利益が同8%増の1948億円、当期純利益が同11%減の1189億円という結果となった。
セグメント別では、フィコサを連結子会社化したオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社などが売上高の面で好調となったが、新規開発ラインのコスト高や原材料費の高騰などの影響が出て損益面では前年度から減少した。「損益面で相乗効果が生まれ成長し始めるのは2017年度後半から2018年度になると見ている」とパナソニック 執行役員でCFOである梅田博和氏は述べている。
ただ、事業外損益を除いた事業部門の損益だけを見ると全部門で増益を達成しており「上期全体を見ると好調だったといえる。事業部門の収益性は強くなっている」と梅田氏は手応えについて語る。
上期の好調な実績にもかかわらずパナソニックでは通期決算見通しの上方修正を行わず、前回発表時の数値を据え置いた。その要因の1つとして挙げたのが、米国Tesla Motors(テスラ)の5人乗りの普及型電気自動車(EV)「モデル3」の生産が遅れている点である。
パナソニックは、米国ネバダ州において、2017年1月にリチウムイオン蓄電池生産工場「ギガファクトリー」をテスラと共同で立ち上げ、蓄電池の生産を開始。しかし、このテスラ側の「モデル3」の生産遅れが生まれており「電池の生産量が自動車の生産量を上回っている状況が生まれている」とパナソニック 代表取締役社長 津賀一宏氏は懸念を述べる。
「モデル3」の生産が遅れる状況については「詳細はテスラに聞いてもらわなければならない話で、どれくらいの期ずれが発生するのかはなんともいえない。テスラの生産ラインは自動化が基本だが、部分的に自動化が遅れているところがあり、手作業で行う作業により、大きく生産遅れが発生している」と津賀氏は述べている。現在生産を続けている電池については、一部を自動車向け以外に転用して活用しているという。
パナソニックの電池事業は、ギガファクトリーの立ち上げとともに、テスラへの依存度が高くなっているが、そのリスクについては、2つの方法でリスクヘッジを図っているという。
1つ目が「電池のカテゴリーのバランスを取ることだ。現在の電池事業はテスラ向け、車載の角形リチウムイオン電池、18650を使った自動車以外の用途、の3つのカテゴリーに展開している。テスラの影響度は大きくなっているのは事実だが、他の領域を拡大することでリスクを低減する」と津賀氏は述べている。
2つ目が「契約でリスクヘッジを行う。テスラ向けの投資が大きくなるので、稼働が上がらなければそのまま損失につながるリスクが増す。1社契約で、他で埋め合わせの方法がないので、テスラとの契約の中に、リスクをヘッジする項目を盛り込んでいる。これらの取り組みでリスクを低減している」と津賀氏は述べている。
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