パナソニックは、2017年4月に新設したビジネスイノベーション本部の戦略として、社会課題の解決に向けたイノベーションを量産化する仕組み作りに取り組む方針を示した。
イノベーションを持続的に生み出し続けることは可能か――。パナソニックは2017年7月26日、都内で「イノベーション量産化技術」の開発に向けた技術セミナーを開催し、革新的製品やサービスを持続的に生み出す仕組み作りに取り組む方針を示した。
パナソニックでは2017年4月に従来の「テクノロジー&デザイン部門」の名称を「イノベーション推進部門」に変更するとともに、同部門の中に新たに「ビジネスイノベーション本部」を新設した※)。ビジネスイノベーション本部長にはパナソニック 代表取締役専務の宮部義幸氏が就任したが、副本部長として活動を推進するのが、パナソニック ビジネスイノベーション本部 副本部長 兼 パナソニックノースアメリカ副社長の馬場渉氏である。
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パナソニックではここ最近、外部人材の積極活用を進めており、元日本マイクロソフト会長の樋口泰行氏が、パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社の新社長に就任し注目を集めている※)。馬場氏もSAPジャパンでバイスプレジデント チーフイノベーションオフィサーを務めた経歴を持ち、これらの実績を生かしてパナソニックに、イノベーションを生み出し続けられる仕組みを構築することを目指す。
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馬場氏は「1つ1つの事業におけるイノベーションを実現するだけでなく、もうすぐ創業100年を迎えるパナソニックが、イノベーションを量産できるようになる『技術』や『手法』を作り出していくことが目的である。日本経済全般や製造業の技術部門の新しい在り方を提示したい」と目的について述べている。
馬場氏が具体的に目指すとしているのが、モノづくりで実現をしてきた生産技術や量産技術の成功体験、手法をコトづくりで実現することである。
馬場氏は「パナソニックをはじめ、多くの日本の製造業が成功を収めてきた陰には個々の製品力だけでなく、量産化を実現した生産技術があった。QCD(品質、コスト、納期)などの生産管理手法や生産技術などを高めてきたため、モノづくりの世界で成功することができた」とかつての成功要因を強調する。実際に、基板に部品を実装する実装機などの生産財では、パナソニックは現在でも世界で高いシェアを握る企業の1つだ。
一方でIoT(モノのインターネット)などの進展により製造業のビジネスモデルも「モノ」売りから「コト」売りへとシフトしつつある。その中で日本の多くの製造業では、成功の形を見いだせないでいる。
馬場氏は「モノづくりからコトづくりへの流れの中で『なぜ勝てないんだ』という議論がよく行われているが、答えはシンプルである。モノづくりで強みとなったフレームワークが、新たなコトづくりの領域ではまだ存在しないからだ。コトづくりにおいても、1つ1つのビジネスモデルだけを見るのではなく、生産技術と同様に全体に通じる手法として確立していくことが必要である。これを一部の天才的な人々の属人的な取り組みで生み出すのではなく、組織的に作り上げていくことが大事だ」と述べている。
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