CEATEC JAPANの変化と第4次産業革命に対して果たす役割いまさら聞けない第4次産業革命(18)(3/3 ページ)

» 2017年10月31日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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産業の枠をまたがる協業の実現の場

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どうして、こんなに日本政府が展示会に熱心に参加しているんですかね。


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1つは、もともとのCEATEC JAPANが扱ってきたエレクトロニクスとITがまさに、第4次産業革命の基盤技術で、「Connected Industries」を訴えやすい展示会だったというのがあると思うわ。


 CEATEC JAPAN 2017開幕前日のレセプションでは、経済産業大臣である世耕弘成氏が「ITおよびエレクトロニクス産業があらゆる産業を“コネクト”していくことを期待したい」と述べていました(※)。第4次産業革命は、IoTなどによりさまざまな現場の情報を収集し、それをITにより分析し、その知見をフィードバックするというサイクルによって、効率化や新たな付加価値創出につなげるCPSの仕組みが基本形となっています。その中で半導体などのエレクトロニクス技術とITはこれらを結ぶ基盤技術となります。CEATEC JAPANが今まで扱ってきたITとエレクトロニクスがまさに、産業同士を結ぶカギとなるのです。

(※)関連記事:「Society 5.0」のショールーム目指すCEATEC、ITとエレは産業のつなぎ手に

 さらに、これらのカギに加えて「CEATEC JAPAN 2017」では、さまざまな産業から企業を呼び込みました。先述した生産財メーカーの他、金融や玩具、住宅、自動車、印刷、通信、繊維などさまざまな産業から出展社がありました。これらの企業が2018年以降も出展する保証は何もありませんが、方向性として、基盤技術としてのITとエレクトロニクスをフックとして、他の産業を呼び込むという方向性が「Connected Industries」を体現しているともいえるわけです。

 もう1つ、蛇足ながら付け加えると、経済産業省と総務省が協力しやすい環境があったというのも要因としてあるでしょう。CEATEC JAPANは、もともと電子情報技術産業協会(JEITA)、情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の3団体が主催団体となっており、さらに成り立ちも「エレクトロニクスショー」と「COMJAPAN」を合わせる形で誕生しています。それぞれを主管する省庁として経済産業省と総務省がもともと関わっており、両省が共同で進める取り組みが行いやすいということがあります。

 「Connected Industries」はまさに産業間がつながっていくことが、従来の産業の壁を越え新たな産業の形を生むということにつながるわけです。ただ、CEATEC JAPAN 2017レセプションでは「経済産業省と総務省の担当者が初めて名刺交換するような状況だった。今後省庁間の壁も破り、日本政府としても一体として産業を支援していきたい」(世耕氏)としており「省庁がつながる」という意味でも「CEATEC JAPAN」はちょうどよい展示会だったといえるのでしょう。

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今後は「CEATEC JAPAN」が「Connected Industries」を象徴する展示会になっていくんでしょうか。


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それはまだ分からないわね。日本国内でも各産業を見れば、世界から重要性が認められ、伸びている展示会がいくつもあるわ。2018年の動きがポイントになるんじゃないかしら。


 ドイツの「インダストリー4.0」では、「プラットフォームインダストリー4.0」という政府主導の産官学の一体組織がプロジェクトの運用を行い、これらの進捗を表現する場としてハノーバーで毎年4月に開催される「ハノーバーメッセ」を活用しています(※)。「Connected Industries」はまだ始まったばかりということもあり、シンポジウムなどで情報発信を行うのみにとどまっています。日本政府もインダストリー4.0と同様に「Connected Industries」の進捗を表現する展示会をどこに置こうかというのは現在考えているところであり、CEATEC JAPANはその候補の1つということになるのかもしれません。

(※)関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【中編】


 さて今回は、IoT/CPS展へと生まれ変わった「CEATEC JAPAN」が果たす役割についてまとめてみました。次回は第4次産業革命の動きの中で部品メーカーがどういう役割を担うのかを解説します。

連載「いまさら聞けない第4次産業革命」の目次

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