「CPS/IoTの展示会」として生まれ変わって2年目を迎える「CEATEC JAPAN 2017」がいよいよ開幕する。日本政府が成長戦略の中核として推進する「Society 5.0」のショールームとしての位置付けを強くしている。開催概要と開幕前夜のレセプションの様子をお伝えする。
CEATEC JAPAN 実施協議会が実施する「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、千葉県・幕張メッセ)はいよいよ2017年10月3日に開幕する。テーマは2016年に引き続き「つながる社会、共創する未来」としたが、より「Society 5.0」を具体的に示す場としての位置付けを明確にした。
2000年に「エレクトロニクスショー」と「COMJAPAN」が統合される形でスタートした「CEATEC JAPAN」は2016年に大きく方向展開を図った。
「CEATEC JAPAN」は、従来は「最先端IT・エレクトロニクス総合展」として、特にデジタル家電の隆盛とともに、成長を遂げてきた展示会である。しかし、デジタル家電の普及が一巡したことや電機メーカーの低迷などを受け、出展者や来場者が伸び悩みを見せ、2015年は過去最低の来場者数と出展社数を記録した。そこで、2016年からは「CPS(サイバーフィジカルシステム)/IoT(モノのインターネット)の展示会」として生まれ変わり、B2Bへのシフトを明確化。その成果もあり2015年は531社だった出展社は2016年は648社へと増加した。
2017年もこの傾向をさらに加速。あらためて「Society 5.0の展示会」としての立ち位置を強調する。Society 5.0とは「第5期科学技術基本計画」などで示された「超スマート社会」の実現を目指すさまざまな取り組みの総称である。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に次ぐ5番目の社会として超スマート社会を置く考え方だ。経済産業省では、この「Society 5.0」を実現するために産業レベルでの在り方として「Connected Industries」なども訴求している(※1)が、CEATEC JAPAN実施協議会 エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は「CEATEC JAPANを、日本の成長戦略や未来を世界に向けて発信する場としてしていく」と述べている。
(※1)関連記事:日本版第4次産業革命「Connected Industries」とは?
これらの取り組みが実を結び、2017年は出展社数は前年比約3%増の667社、出展コマ数も約3%増の1758コマとなっているという。鹿野氏は「数字だけを見ると微増に見えるかもしれないが、CEATEC JAPANの変化は出展者数の中身に現れている。全出展社中の49%が新規出店社となっているさらに、その中で国内44社、海外47社がベンチャーやスタートアップ企業である。IoTやCPSへの取り組みを象徴する結果だ」と手応えについて語っている。
新たに金融や玩具、住宅、工作機械、自動車、印刷、通信、繊維などさまざまな業界から新たな出展社が参加し、産業と産業を結ぶ新たな時代に向けた取り組みをアピールするという。
開幕前日となる2017年10月2日にはレセプションを実施。実施団体の監督官庁である経済産業省と総務省から、それぞれ大臣である世耕弘成氏と野田聖子氏が参加し、CEATEC JAPANへの期待を述べた。
世耕氏は2017年3月に日本がパートナー国として参加したドイツのIT展示会「CeBIT 2017」で発表した日本独自のつながる産業のコンセプト「Connected Industries」をあらためて強調(※2)。「少し前までは概念だけだったが、今では『日本の生きる道はここにある』という形で大いに盛り上がってきている。ロボット、IT、AIなどは人口減少が進む日本において、生産性を抜本的改善に導く大きなカギを握る。また成長戦略の中心的担い手となる存在である。ITおよびエレクトロニクス産業があらゆる産業を“コネクト”していくことを期待したい」と述べた。
(※2)関連記事:日本版第4次産業革命「Connected Industries」とは?
さらに「日本企業はIT革命には乗り遅れたともいわれている。この新しい『Connected Industries』の時代には、しっかりと世界に先駆けた取り組みを進め、世界で勝てる産業となれるように支援していきたい」と述べている。
一方、野田氏は「持続的成長を実現していくうえで、消費者視点での多様性が重要となっている。その中で5Gやサイバーセキュリティなどの整備を進め、世界最高水準のICT(情報通信技術)社会の実現を目指していく。経済産業省と総務省での連携も強化していきたい」と述べた。
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