日本政府は、ドイツの「インダストリー4.0」、フランスでの「産業の未来」などに当たる、政府主導の将来の産業コンセプトとして「Connected Industries(つながる産業)」を発表。今後、同コンセプトを軸に各種施策を進めていく。
経済産業省は2017年3月20日、日本の産業が目指す姿を示すコンセプトとして「Connected Industries(つながる産業)」を発表した。ドイツの「Industrie 4.0(インダストリー4.0)」、フランスでの「Industrie du Futur(産業の未来)」などのプロジェクトに当たるもので、今後日本も「Connected Industries」を軸として施策を展開していく。
IoT(モノのインターネット)とデータの分析および活用技術の進展により、産業の在り方が大きく変化する「第4次産業革命」に世界中から大きな関心が集まっている。第4次産業革命は、第1次の蒸気機関、第2次の電気、第3次のコンピュータの次として、IoTなどを駆使した産業の変化を示すもの。第4次産業革命による変化は技術だけでなく、社会制度や規制、教育などさまざまな領域に及ぶ。そのため、政府が主導し産官学の連携で推進するケースも多い。
その代表格がドイツ連邦政府が推進する「インダストリー4.0」である。「インダストリー4.0」は2011年にドイツ政府がコンセプトを発表。その後、現在まで推進組織である「プラットフォームインダストリー4.0」と、ドイツ国内各地の産業クラスタを通じて議論や研究開発を進め、産業用IoTの世界で、世界でも主導的な立場を維持している。
こうした動きに追随するように、各国政府も同様のコンセプトを発表。フランスでは「Industrie du Futur(産業の未来)」などを展開する他、中国では「中国製造2025」などを展開してきた。日本でもこれらに対抗する取り組みとして、経産省や総務省が「ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)」や「IoT推進コンソーシアム」などが取り組みを進めてきたが、海外から見ると日本として全体的な取り組みが見えにくいという状況があった。
こうした産業の変革の一方で、日本では「科学技術基本計画」の中で、社会そのものが新しい技術によって変革する「Society 5.0」を訴えてきた。「Soceity 5.0」とは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、新たな社会の実現に向けた取り組みである。目指す姿は、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実社会)が高度に融合した「超スマート社会」とし、この実現に向けた取り組みを進める方針を示してきた。
超スマート社会とは「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会のさまざまなニーズにきめこまやかに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といったさまざまな違いを乗り越え、生き生きと快適に暮らすことのできる社会」だとしている。
今回新たにコンセプトとして打ち出す「Connected Industries」は、「Society 5.0」を背景に、あらためて産業領域での日本の強みと、それを織り込んだ新たな産業の未来像を訴えるものである。
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