前回は、実証に向けて社内で取り組みを進める頼もしい矢面さんが見られましたが、今回はどうでしょうか。さて、今日も矢面さんは印出さんに相談しに来たようです。
印出さん、こんにちは。この前はありがとうございました。なかなか大変ですが一歩一歩自分たちなりのIoT活用を進めています。
素晴らしいわね。正解例のない中で、自分たちに合った形を作ることがとっても大事だと思うわ。
ところで印出さん、この前「CEATEC JAPAN」という展示会が、IoTの展示会として注目されているという話だったので見てきたんですが知っています?
知っているわよ。数年前まではデジタル家電の展示会だったのに、一気にCPS/IoTの展示会に路線変更して、B2B色を強めているらしいわね。
「CEATEC JAPAN」は2000年に「エレクトロニクスショー」と「COMJAPAN」が統合される形で開始されました。「最先端IT・エレクトロニクス総合展」として、特にデジタル家電の隆盛とともに、成長を遂げてきた展示会ですが、デジタル家電の成熟化によって存在感を徐々に失い始めていました。2015年に過去最低の来場者数と出展社数を記録したことを受け、2016年に大胆に方針変更を発表し、CPS/IoTの展示会として生まれ変わりました。その取り組みが実を結び、2016年、2017年と、出展社数と来場者数が回復傾向にあります。
それにしても、今回はすごいんですよ。ファナックやアマダ、ジェイテクトなどの生産財メーカーも大きなブースで出展していて驚きました。
注目されていたわねえ。ファナックはIoT基盤のサービス開始も会場で発表した(※)みたいですものね。
(※)関連記事:現場志向のIoT基盤「FIELD system」が運用開始、稼働監視などを年間100万円で
あとは、政府がとても積極的でびっくりしました。開催されたセミナーに多くのも経済産業省や総務省の人たちが登壇していてすごいなあと。
CEATEC JAPANは主催者側も「Society 5.0」のショールームとしての位置付けを強化すると言っていたし関係性が強まっているんじゃないかな。
CEATEC JAPANは、2017年から特に「Society 5.0の展示会」としての立ち位置を強調しています。「Society 5.0」については、連載16回の「日本版第4次産業革命『Connected Industries』とは?」で、少し触れましたね。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、5番目の新たな社会の実現に向けた取り組みで超スマート社会の実現を目指すという社会概念でした。
さらに日本政府は2017年3月にドイツのIT展示会である「CeBIT 2017」で日本版の第4次産業革命のコンセプトとして「Connected Industries」を打ち出し、同コンセプトの定着に向けて力を注いでいます。
確かに、セミナーの登壇者はみんな「Connected Industries」をアピールしていました。そういう意味ではいろいろ勉強になりましたね。
「Connected Industries」は、日本らしさとして「人間本位」を盛り込みつつ、複数の産業を結び、データの有効活用による課題解決を進めていくという日本独自の第4次産業革命に向けたコンセプトです。これをベースに新たな日本の産業の変革を推進していきたいのが政府の狙いです。
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