NVIDIAが無人運転向けAIコンピュータを発表、処理性能は「DRIVE PX」の10倍車載半導体

NVIDIAは、ドイツ ミュンヘンで開催した開発者会議「GTC Europe」において、無人運転で走行するロボットタクシーに向けた人工知能(AI)コンピュータ「DRIVE PX Pegasus」を発表した。

» 2017年10月13日 07時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
無人運転向けのAIコンピュータ「DRIVE PX Pegasus」(クリックして拡大) 出典:NVIDIA

 NVIDIAは2017年10月10日(現地時間)、ドイツ ミュンヘンで開催した開発者会議「GTC Europe」において、無人運転で走行するロボットタクシーに向けた人工知能(AI)コンピュータ「DRIVE PX Pegasus」を発表した。毎秒320兆回以上の演算が可能で、前バージョンである「DRIVE PX2」の10倍を超えるパフォーマンスを発揮するとしている。DRIVE PX Pegasusの供給は2018年後半となる計画だ。

 DRIVE PX Pegasusは高性能AIプロセッサを4基搭載し、ドライバー不要で地域に制限なく走行する「レベル5の自動運転」を実現する。SoC(System on Chip)プロセッサの「Xavier」2基と、ディープラーニング(深層学習)やコンピュータビジョンのアルゴリズムを加速させるハードウェアを備えた次世代ディスクリートGPU2基を接続している。コンピュータのサイズはナンバープレートと同等で、電力消費とコストを大幅に低減した。

 また、自動車向け機能安全規格のISO 26262の最も厳しい安全要求レベルであるASIL Dに対応した設計だ。CANネットワークやFlexRayの他、カメラやライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)、超音波センサーなど16個の専用の高速センサー入力に対応。伝送速度10Gビット/秒(Gbps)の複数の車載イーサネットコネクターもサポートする。メモリ帯域幅は1秒あたり1TB(テラバイト)を上回るという。

 ロボットタクシーは周囲360度のセンシング、他の車両や歩行者の監視、センチメートル単位の精度での自車位置の推定、走行計画の立案といった処理を多層的な冗長性を持たせながら実行しなければならない。そのため、「現在の最先端の自動車の50〜100倍となるコンピューティング能力が必要になる」(NVIDIA)としている。

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