Audi(アウディ)は、フラグシップセダン「A8」の新モデルを世界初公開した。高速道路を時速60km以下で走行中にアクセルやブレーキ、ステアリングを自動で制御し、ドライバーの周辺監視なしでも走行できる。各国でのテストや承認手続きを経て、2018年以降に段階的に導入するとしている。
Audi(アウディ)は2017年7月11日(現地時間)、フラグシップセダン「A8」の新モデルを世界初公開した。新型A8はレベル3の自動運転システムを搭載する。高速道路を時速60km以下で走行中にアクセルやブレーキ、ステアリングを自動で制御し、ドライバーの周辺監視なしでも走行できる。スマートフォンで車外から操作する自動駐車機能も採用する。
市販モデルとしてレベル3の自動運転システムを設定するのは「世界初」(アウディ)としている。自動運転機能や自動駐車機能の市場導入に当たっては、各国でのテストや承認手続きを経て、2018年以降に段階的に進めるとしている。
ベース価格はA8が9万600ユーロ(約1178万円)、ロングホイールベースの「A8 L」は9万4100ユーロ(約1223万円)から。2017年秋からドイツで販売を開始する。
自動運転機能の名称は「アウディ AI トラフィックジャムパイロット」。前後の車両と接近したノロノロ運転となる渋滞時に運転操作を代行する機能で、中央分離帯がある道路を時速60km以下で走行している場合にセンターコンソールのスイッチを押すと有効になる。自動運転中は他のクルマの割り込みにも対応する。ドライバーがステアリングから手を離しても機能は継続し、TVを視聴することも「法律が許せば可能」(アウディ)。
渋滞が解消したり、走行速度が時速60kmを超えたりすると、運転に復帰するようドライバーに通知する。この通知を無視すると何度か警告を発した上で最終的にはクルマを停止させる。また、自動運転機能の作動中はドライバーの様子をカメラで監視し、寝てしまった場合には警告する。
車両に搭載するセンサーは7種類だ。これらのセンサーの情報に基づいて包括的な車両周辺の画像を生成することにより自動運転機能を実現した。
レーザースキャナーは照射角145度、照射範囲が80mだ。検知距離最大250mの長距離ミリ波レーダーや、フロントカメラと補完し合うことで前方監視を担う。また、フロントカメラはディープラーニングによって自動車とトラック、自転車、歩行者を識別する。
これらのセンサー情報の統合処理を担うのは、セントラルドライバーアシスタンスコントロールユニット「zFAS」だ。車載のあらゆるアシスタンス機能、ハードウェアの電子装置、ソフトウェアのアーキテクチャも集約し、zFASは自動運転に関わる全ての機能のセントラルインタフェースとして動作する。
自動運転用コンピュータともいえるzFASはタブレット端末と同等サイズで、NVIDIAのプロセッサ「Tegra K1」、Infineon(インフィニオン)の車載マイコン「Aurix」、Intel(インテル)が買収したAltera(アルテラ)のFPGA「Cyclon V SoC」、Mobileye(モービルアイ)の画像処理プロセッサ「EyeQ3」を組み合わせる。zFASはモジュラーコンセプトで拡張の余地も大きいとしている。
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