NVIDIAは開発者会議「GTC(GPU Technology Conference)」の中でトヨタ自動車との協業を発表した。日系自動車メーカーの技術関係者は「まさか!?」「意外だ」と驚きを隠せない。これから起こるサプライチェーンの大変革とは。
「カイゼン(改善)」「ゲンチゲンブツ(現地現物)」。
まさか、CEOのジェンスン・フアン氏が壇上で、こうした言葉を口にするとは――
GPU大手のNVIDIA(エヌビディア)が毎年行っている開発者会議「GTC(GPU Technology Conference)」。今回は2017年5月8〜11日の4日間、米カリフォルニア州サンノゼの市街中心部にある、San Jose McEnery Convention Centerで開催された。
その3日目、午前9時から始まったNVIDIAの創業者でCEOのジェンスン・フアン氏の基調講演が2時間を超えて、そろそろ締めくくりになろうかというところで、隠し玉が出た。
それが、トヨタ自動車との協業の発表だった。
以下は、基調講演の後にNVIDIAが発表した日本語リリースの一部だ。タイトルは「NVIDIA とトヨタ自動車、自動運転車の市場導入加速に向けてコラボレーション」。副題は「NVIDIAのAIテクノロジーは大量のセンサーデータを処理、多種多様な運転状況を予測し、対応できる自動車の実現を目指す」。
リリースの冒頭部分を、筆者が箇条書きにしてまとめると、次のようになる。
また、NVIDIAの広報担当者は、トヨタ自動車との契約は日本本社と直接行ったことを明らかにした。シリコンバレーなどでAIなどの研究を行うグループ会社、TRI(Toyota Research Institute)とは、2016年のGTCでTRI社長のギル・プラット氏が講演するなど定常的な情報交換を行っているが、トヨタ自動車本社と直接の契約だと強調した。
こうした発表について、筆者はSNSや商業サイトへのコメントなどを通じて、現場の温度感を紹介したのだが、それに対して日系自動車メーカーの技術関係者らから「まさか!?」「意外だ」といった驚きの声が数多く寄せられた。
なぜ、驚きなのか? トヨタ自動車がこれまで、自動運転や高度運転支援システム(ADAS)で構築してきたビジネスのエコシステムの転換を、自動車業界とIT業界に対して強く印象付けたからだ。
そこには、自動車産業界が直面している、サプライチェーンの大変革がある。
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