ダイハツ工業は鉄の鋳造部品の試作向けに3Dプリンタで砂型を出力する技術を開発した。砂型の材料となる人工砂にコーティングを施すことにより、鉄の鋳造に耐える砂型を3Dプリンタで製作できるようにした。
ダイハツ工業は2017年8月24日、鉄の鋳造部品の試作向けに3Dプリンタで砂型を出力する技術を開発したと発表した。砂型の材料となる人工砂にコーティングを施すことにより、鉄の鋳造に耐える砂型を3Dプリンタで製作できるようにした。これにより、大幅に砂型の製作期間の短縮やコスト低減を図ることができる。
同社はアルミニウムの鋳造部品の試作では砂型を3Dプリンタで製作していたが、溶融温度の高い鉄の鋳造部品の砂型に3Dプリンタを使うのは困難だった。開発技術は既にダイハツ九州で活用されている。
エンジンやトランスミッションなどの鋳造部品は、木製の木型や金型を使って製作した砂型に、溶融した鉄やアルミニウムを流し込むことで生産する。木型や金型の加工には高度な技能が必要で、製作期間の長期化も課題となっていた。
これに対してダイハツ工業では既に、3Dプリンタでの砂型製作を実施している。砂型の材料は天然珪砂で、鋳造はアルミニウムに限られていた。溶融温度の高い鉄の鋳造部品では砂型が割れてしまうためだ。
開発技術は、砂型に使用する人工砂の表面に酸触媒などで2層のコーティングを施すもの。コーティング自体には大掛かりな設備や長い作業時間は不要だとしている。これにより、鋳型を常温で高速硬化できる「フラン自硬性プロセス」によって砂型を製作することに成功した。鉄製部品の鋳造に対応するとともに、砂型1個当たりの製作期間を5分の1に、コストを8分の1に抑える。
コーティングによって、既存の3Dプリンタと量販の人工砂で砂型を製作することができ、汎用性を持たせた。また、使用後の人工砂に再度コーティングして人工砂を全てリサイクルすることが可能となる。開発技術を導入したダイハツ九州では、久留米工場でエンジンやトランスミッション部品を、大分(中津)工場で軽商用車や軽乗用車を生産している。
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