新旧「ミライース」乗り比べ、走って見えてきたダイハツの取捨選択と企業努力乗って解説(1/3 ページ)

2017年5月に全面改良を受けたダイハツ工業の軽自動車「ミライース」。先代モデル比80kgの軽量化を果たし、安全装備や快適装備を充実させた。燃費が良いだけ、安いだけでは満足しなくなっているユーザーに対し、ダイハツ工業は新型ミライースでどのように応えていくのか。

» 2017年08月21日 06時00分 公開
[高根英幸MONOist]
フルモデルチェンジでスポーティなイメージに仕上げられた新型ミライース(写真右)と、比較対象として用意した先代ミライースのトヨタ向けOEM(クリックして拡大)

 ダイハツ工業の軽自動車「ミライース」の新モデルに試乗した。

 安全装備や快適装備を充実させながら80kgもの軽量化を果たし、その上カタログ燃費より実燃費と走りを優先した走行性能を実現したとの触れ込みである。

 その走りはどう変わったのか、比較対象として先代ミライース(のトヨタOEMであるピクシスエポック)を従えて試乗を試みた。

若々しくスポーティになったデザイン

 新しくなったミライースは、一目でフルモデルチェンジしたことが分かるほど、スタイリングのイメージを一変させている。2台を並べてみると1世代前とは思えないほど、先代の中庸なデザインが一気に古臭く感じさせてしまう。このあたりは好みもあるが、新型ミライースを経済性以外も魅力あるクルマへと仕立てようとした開発陣の意気込みを感じさせる。

 それに輪をかけるように、インテリアはグンと高級感が高まった。ダッシュボードのデザインや質感は驚くほどの進歩だ。ここだけを見ればとても100万円のクルマに見えないくらい、高い質感を感じさせる。

最近のトレンドであるエッジの効いたスタイリング。結果としてスポーティな印象に仕上がったというが、幅広いユーザー層に受け入れられそうなデザインである(クリックして拡大)

 エクステリアデザインとのバランスもあるのだろうが、先代が丸みを帯びた広く採用されているデザインだったのに対し、角は丸められているものの、直線基調のインストルメントパネル(インパネ)は表面のシボが深くなっているだけでなく、さまざまなシボを組み合せることで高級感を高めている。メーターパネルも大きなデジタル表示となり、パネル内枠には走行のエコ状態を示すグラフィックメーターが組み込まれるなど、分かりやすく見やすいものだ。

 骨格は構造材のほぼ全てに高張力鋼板を使い、特に強固に仕立てたい部分には超高張力鋼板まで採用した。さらに接合にはスポット溶接だけでなく、溶接面積が大きくボディー剛性が高められるレーザー溶接を導入するなど、軽自動車の中でも価格重視のモデルとは思えないほどコストがかけられている。

 安いだけ、燃費がいいだけでは、もうユーザーは満足してくれない。そんな考えから作り上げられた第3のエコカーは、基本骨格から手抜きナシで仕立てることで経済性と安全性、快適性の向上を実現したのである。

ダッシュボードの高級感は格段に向上した。メーターパネル内枠には色の変化でエコドライブを直感的に伝えるエコドライブアシスト照明を採用(クリックして拡大)
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