アディダスも採用を決めた量産型3Dプリンティング技術、日本で披露:DMS2017(2/2 ページ)
DLSプロセスは、CLIP技術と液状樹脂技術によって構成される。酸素透過性光学系の組み合わせでデジタルライトプロジェクション技術を使用する。基本的には光硬化樹脂を使って成形を行うが、従来の手法では添加剤で弱く脆い部分が生まれてしまう弱点があった。Carbonでは、第2の熱活性化素材を材料に組み込むことでこれを克服し、エンジニアリンググレードの機械的性質を持つ高分解能製品を造形できるようにしたという。
CLIPは光と酸素のバランスを保ちながら素早く部品を生産する光化学プロセスである。酸素透過性の窓を通って、光をUV硬化樹脂に投射することにより固め、プラットフォームを徐々に引き上げていく形で成形していくという仕組みである。成形したパーツは最終的に高温で焼き、二次的な化学反応を引き起こすことで強度などを実現する。
Carbonの独自の積層造形技術「CLIP」による成形の様子
CarbonのDLSプロセスの基本的な構造(クリックで拡大)出典:Carbon
CLIPを用いることで、従来の3Dプリント方式よりも造形速度が向上する他、造形物の剛性や機械特性、表面の平滑性も引き上げられるという。
Carbonには日本企業ではニコンとJSRが出資しており、今回はこの2社が中心となり、DMS2017での反応を得て日本での展開を検討していくという。ブース担当者は「とにかく圧倒的に早くきれいに造形できるということがCarbonの技術の特徴だ。将来的には3Dプリンタによる量産に活用できる技術だと考えている。日本での展開については具体的なものは何も決まっていないが、さまざまな用途で活用できると考えている。市場性を探り早期に日本での展開をしていきたい」と述べている。
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