キャステムは「第38回 機械要素技術展」に出展し、金型不要で1個から金属化する「デジタルキャスト」を紹介。試作を支え、各種鋳造の入り口となる同技術の強みを示した。
キャステムは「第38回 ものづくりワールド[東京]」(2026年7月1〜3日、東京ビッグサイト)の構成展の1つである「第31回 機械要素技術展」に出展し、金型不要で1個から金属部品を製造できる鋳造サービス「デジタルキャスト」などを紹介した。狐のお面やカブトムシといった複雑な形状の展示品を通して、同技術の高い形状自由度をアピールしている。
デジタルキャストの特徴は、3Dプリンタで製作した樹脂模型を原型とし、そのまま金属製品を製作する点だ。製造工程にはロストワックス製法の流れを応用している。まず3Dプリンタで樹脂モデルを成形し、その原型にセラミック液と粉末を4〜6層ほどコーティングする。これを高温で焼成して中の樹脂を完全に消失させ、できたセラミック鋳型に溶融金属を注湯する仕組みだ。
通常は必須となる金型が不要なため、初期コストを抑えつつ、複雑形状の試作検証や補修部品の製造などを小ロットから行える。鉄系やステンレス系、銅、アルミなど約100鋼種に対応しており、1個から最短2週間の短納期で製作可能だ。ブースに並んだ狐のお面は、過去に顧客からの展示品要求に対応して製作した実例であり、「法人から個人まで、オリジナル部品の製作にも幅広く採用されている」(キャステムの説明員)という。
一方で、コストや精度には課題もある。1つずつ模型を出力して鋳型を作るため、1個当たりの鋳造単価はどうしても高くなる。例えば、材質ステンレスで重量320gの部品を製造する場合、デジタルキャストは金型不要な反面、1個当たりの単価は高くなる。対してロストワックスを用いた鋳造は初期費用として約24万円の金型費がかかるものの、作れば作るほど1個当たりの製造料金は安くなる。
また、「ロストワックスや砂型鋳造など他製法に比べると表面が粗く、寸法精度もやや劣る。まとまった数が必要な場合は、金型を作ってロストワックス法を用いた方が結果的に費用を抑えられる」(同説明員)という。
キャステムは主力事業として、ロウ(ワックス)で原型を作り、その周りを耐火材で固めてからワックスを溶かし出して空洞(型)を作る「ロストワックス精密鋳造」や、微細/薄肉部品の高精度な成形に適した「MIM(金属粉末射出成形)」を展開している。
「金型が必要だと手を出しづらい層にとって、デジタルキャストを知ることがさまざまな鋳造方法の入り口になる。鋳造でこんなことができるんだという気付きになってもらえれば」(キャステムの説明員)
まずは金型投資のいらないデジタルキャストで初期開発や試作のハードルを下げ、本格的な量産や高精度化のフェーズに合わせてロストワックスやMIMへと移行する。顧客の開発フェーズや予算の変化に寄り添い、試作から量産まで最適な製法をワンストップで提案していく構えだ。
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