量産プロセスで、完璧な量産(組み立て)と検査ができない理由製品リコールを生む品質不良の原因と対策(6)(1/3 ページ)

設計品質と量産品質の構造を整理し、品質不良が生まれるメカニズムを体系的に考察する連載「製品リコールを生む品質不良の原因と対策」。第6回では、量産プロセスで行われる組み立てや検査に焦点を当て、作業者の習熟度や標準作業からの逸脱、治具の使い方、報酬制度などに起因する品質不良の発生要因と対策を解説する。

» 2026年08月05日 07時00分 公開

 設計プロセスを経ることによって、製品の設計データが完成する。ここでいう設計データとは、CADデータや部品表(BOM)、試作セットを用いて設計内容の妥当性を確認した試験レポートなどである。

 設計データが妥当であると判断されれば、その後は設計データにのっとって数多くの部品を作製し、それらを組み立てて製品を作る。このように、設計データに基づいて「部品を作製」し、「製品を組み立てる」のが量産プロセスだ。

 量産プロセスでは、作製した部品組み立てた製品の品質を確認するため、主に以下の検査や監査が行われる。

  • 受入検査(部品メーカーで作製した部品の検査)
  • 工程内検査(組み立て途中の製品の検査)
  • 出荷検査(組み立てた製品の最終検査)
  • 監査(組立メーカーや部品メーカー、その他の外注先における品質管理体制の確認)
量産プロセスの組立工程に組み込まれた検査 図1 量産プロセスの組立工程に組み込まれた検査[クリックで拡大]

 受入検査は、部品メーカーで作製した部品が仕様を満たしているかどうかを、製品の組み立て前に、各工程の作業者が数秒で確認する検査である。

 工程内検査(インライン検査)は、組み立て途中の製品に問題がないかを(これも数秒で)確認する検査であり、各工程の作業者が実施する。出荷検査は、組み立てが完了した製品に対して行う最終検査だ。

 監査では、組立メーカーや部品メーカー、その他の外注先における品質管理体制を確認する。監査は、量産開始後、半年〜1年に1回程度行われる場合が多い。

 このように、量産プロセスでは、部品や製品の品質を確認するために複数の検査や監査が行われている。しかし、それでも現実には品質不良が発生する。ここから、その理由について解説していく。

量産プロセスで、完璧な量産(組み立て)と検査ができない理由と対策 図2 量産プロセスで、完璧な量産(組み立て)と検査ができない理由と対策[クリックで拡大]

 量産プロセスにおける監査以外の3つの検査は、一連の組立工程の中の作業として組み込まれる場合が多い(図2)。一方、受入検査や出荷検査を組立工程とは別に実施するケースもある。

 以下では、受入検査、工程内検査、出荷検査が、一連の組立工程に組み込まれている場合を想定して解説する。また、組み立て作業の一部を外注する場合もあるため、量産プロセス全体を考える上では、「外注先の問題」も無視できない。

 なお、本稿では、筆者がこれまで関わってきた中国の組立メーカーや部品メーカーで実際に経験した事例を多く取り上げる。ここで紹介する内容は、あくまで筆者が関与した企業や工場で見られた事例や傾向に基づくものである。その中には品質管理の基本に関わる問題も多くあり、量産プロセスで品質不良が発生する要因を考える上で参考になるものが含まれる。

量産プロセスにおける、完璧な量産(組み立て)と検査ができない理由と対策 図3 量産プロセスにおける、完璧な量産(組み立て)と検査ができない理由と対策[クリックで拡大]
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