設計スキルのレベルアップを目指す設計者の皆さんを“冒険者”に見立て、さまざまな“問(モン)スター”に挑む「テルえもんクエストII」の世界へようこそ。【レベル16】では、前回作成した椅子の3Dモデルを題材に、レンダリング機能と生成AIを活用して魅力的に見せる方法を紹介する。
前回(レベル15)では、生成AI(人工知能)に椅子のアイデアや寸法案を相談し、3D CADを使って実際の形にする方法を紹介しました。
座面、背もたれ、4本の脚を作成し、部品の位置関係や寸法を確認することで、椅子の3Dモデルを完成させることができました。しかし、3D CADの画面に形状が表示されているだけでは、その椅子がどのような場所で使われるのか、どのような材料で作られるのか、どのような雰囲気の商品なのかまでは十分に伝わりません。
同じ3Dモデルでも、色や材質の見せ方、光の当て方、背景、見る方向を変えると、印象は大きく変わります。木目の外観を設定すれば温かみのある家具に見え、金属の外観を設定すれば、工業的でシャープな印象になるでしょう。室内の背景と組み合わせれば、実際に使用している場面も想像しやすくなります。
それでは、前回の最後に登場した問スター(17)「作成した椅子の3Dモデルを魅力的に見せよ!」に挑戦します。3D CADのレンダリング機能と生成AIを活用し、作成した3Dモデルを相手に伝わる画像やプレゼンテーション資料へ仕上げていきましょう。
レンダリングとは、3Dモデルに色や材質の見え方、照明、背景などを設定し、実物を撮影したような画像を作成することです。
3D CADで設計しているときは、形状や寸法を確認しやすいように、部品を単色で表示していることが多いかと思います。設計内容を確認するには十分ですが、完成品の見た目を伝える資料としては、少し分かりにくい場合もあるでしょう。
レンダリングでは、次のような要素を設定します。
3D CADによって設定できる項目は異なりますが、これらを組み合わせることで、形状だけでは伝わりにくかった製品の雰囲気や使用場面を表現できます。本格的にレンダリングを行いたい場合には、別のCGソフトや専用ソフトを使用する方法もあります。
1つ注意点として、レンダリングした画像は、設計した製品の性能や安全性を証明するものではありません。画像が本物らしく見えても、強度、寸法、加工性、組み立てやすさなどを確認できたことにはならないのです。レンダリングは「正確に設計するための機能」というより、「設計した内容を分かりやすく伝えるための機能」と考えるとよいでしょう。
3D CADのレンダリング機能だけでも製品画像を作れますが、生成AIを組み合わせると、使用場面のイメージをさらに広げることができます。
例えば、レンダリングした椅子の画像に、リビング、カフェ、学習スペース、オフィスなどの背景を加えれば、誰が、どこで、どのように使う椅子なのかを伝えやすくなります。そうした使用場面の背景を、生成AIを活用して作成するのです。
ただし、生成AIは元の3Dモデルの形状を正確に保持できないことがあります。椅子の場合、脚の本数や背もたれの形が変わったり、接合部分が消えたり、椅子と背景で影の方向が合わなくなったりする場合もあるでしょう。
そのため、生成AIによる画像は設計形状を確認する図面の代わりには使用せず、コンセプトや使用イメージを伝える“参考画像”として扱います。3Dモデルとの比較が必要な場合は、元のレンダリング画像も一緒に掲載すると、どこまでが設計した形状で、どこからが演出なのか分かりやすくなります。
生成AIに背景の作成を依頼するときは、「おしゃれな部屋」のような短い指示だけでなく、次の要素を具体的に伝えるとよいでしょう。全てを指定する必要はありませんが、一例として参考にしてください。
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