設計スキルのレベルアップを目指す設計者の皆さんを“冒険者”に見立て、さまざまな“問(モン)スター”に挑む「テルえもんクエストII」の世界へようこそ。【レベル15】では、AIと3D CADを活用した椅子の設計に挑戦する。設計条件の検討から3Dモデルの作成まで、人間とAIの役割分担を考えながら攻略していく。
前回(レベル14)は、生成AI(人工知能)に3D CAD用のスクリプトを作成してもらう方法や、MCP(Model Context Protocol)を使って生成AIと3D CADを連携する方法、3D CADで利用できるAI機能などを紹介しました。
生成AIは、文章を作成したり、質問に答えたりするだけではありません。アイデアを考え、形状の特徴を整理し、3Dモデルを作成するためのプログラムを生成するなど、設計のさまざまな場面で活用できます。
まずは、前回の最後に登場した問スター(16)に挑戦します。テーマは、「AIを活用して、椅子の3Dモデルを作成せよ!」です。3D CADとAIを使って形にしていきましょう。
椅子は、座面、背もたれ、脚などの比較的単純な部品から構成されています。一見すると簡単に作れそうですが、人が安全に座るためには、さまざまなことを考える必要があります。
例えば、座面が高過ぎると足が床に届きにくくなります。座面が小さ過ぎれば座りにくくなり、脚の位置が内側過ぎると椅子が倒れやすくなるでしょう。背もたれの角度や高さによっても、座り心地は変わってきます。
つまり、椅子のデザインでは、見た目だけでなく、「人が座る道具」としての使いやすさや安全性を考えなければなりません。
そこで重要になるのが、AIに全てを任せるのではなく、人とAIが役割を分担しながら設計を進めることです。
まずは、生成AI「ChatGPT」に、3D CADとAIの機能を組み合わせて椅子の3Dモデルを作成したいことを伝え、アドバイスをもらってみました。その回答を基に、人間、AI、3D CADの3つの役割で整理したものを図1に示します。
もちろん、ここに挙げた全ての役割を行う必要はありません。例えば、デザインだけをAIにお願いし、3D CADでのモデリングは人間が手動で行う進め方でも問題ないでしょう。あくまで生成AIが回答した1つの例として考えてください。
参考までに、3Dモデルではなく、生成AIに椅子の画像を作ってもらった例を図2に示します。今回は、「事務オフィス用のカッコいいデザインの椅子のアイデアを考えて画像にしてください。4パターン考えてください」と簡潔なプロンプトを入力しました。生成された画像に対して追加や修正を依頼しながらデザインを完成させ、その画像を参考に3D CADで3Dモデルを作成するのも1つの方法です。
ChatGPTからのアドバイスにもありましたが、まずは目的設定やデザイン検討、寸法設定などの設計条件を決めていきます。作ろうとしている椅子が誰のためのものなのか、どこで使うのか、どのように作るのかが曖昧なままでは、実際の設計につなげることができません。
そこで、筆者は最初に以下の条件を考えました。
ただし、上記だけでは設計条件としてまだ曖昧です。そこでChatGPTに詳細な条件を相談したところ、想定する身長や体重を基に、座面の幅、奥行き、高さ、各部の厚みなどの参考寸法が提案されました。
今回は誌面に全てを掲載し切れないので、ぜひ皆さん自身でも試してみてください。ただし、AIが示す数値はあくまでも検討の出発点です。実際に使用する椅子を設計する場合には、人間工学、材料特性、強度、安全基準、製造方法などを確認した上で、解析や試作、実物による評価を行う必要があります。
ここから先は、AIと相談しながら設計条件をさらに詰め、3Dモデルの作成まで進めてみましょう。
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