酉島製作所は、老朽化したポンプの整備に、金属AM技術を用いた「一体型プロペラ(羽根車)」の適用事例を発表した。兵庫県の河川排水ポンプ場の整備工事で、従来の鋳造では約6カ月必要だった納期を1.5〜2カ月に短縮している。
酉島製作所は2026年7月22日、老朽化したポンプの整備に、金属AM(Additive Manufacturing、積層造形)技術を用いた「一体型プロペラ(羽根車)」の適用事例を発表した。兵庫県の河川排水ポンプ場の整備工事で、従来の鋳造では約6カ月必要だった納期を1.5〜2カ月に短縮した。
日本国内では、納入から20〜30年が経過した社会インフラ用ポンプの整備工事が増加している。羽根を取り付ける中心部のプロペラボスなどは、分解して初めて腐食や経年劣化が判明する場合も多い。
従来の鋳造は、木型製作から鋳型の作成、金属の鋳込み、精密機械加工まで多くの工程を要し、4〜6カ月の納期が必要だった。同社はこの課題に対応するため、金属積層と5軸切削を1台で行うDMG森精機のハイブリッドAM機「LASERTEC 65 3D」を導入。3Dデジタルデータから金属粉末を溶融、積層する木型レス造形により、前準備工程を短縮できた。
また、これまで銅合金製の羽根と鋳鉄製のボスをボルトで結合していたが、SUS316L相当の高耐食ステンレス鋼による一体造形を可能にした。接合部の隙間がなくなることで、長期間の使用によるガタつきや、異種金属の接触による電食のリスクを排除した。
代替品の製作では、3Dスキャナーで旧品のプロペラを精密に測定し、過去の運転・性能記録と照合して取り付け角度を高精度に調整した上で、デジタルモデルを作成して造形する。連続運転試験後の非破壊検査では、羽根の付け根部分に亀裂は発生せず、塩水浸漬試験でも腐食による質量減少率は従来のステンレス鋳造材の数分の一にとどまることを確認した。
排水機場や雨水ポンプ場で使うポンプの整備工事は、雨の少ない非出水期に完了する必要がある。同技術では最短2週間で製作でき、リードタイムの大幅な短縮が可能になる。最終形状に近い状態まで金属粉末を積層する「ニアネットシェイプ」での造形により、廃材を抑えて環境負荷の低減にも寄与する。
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