IDC Japanは、国内3Dプリンティング市場の2013〜2015年の実績と2020年までの予測を発表した。一般消費者向けのデスクトップ3Dプリンタ市場は、ブームの終えんによって縮小したものの、企業ユーザー向けのプロフェッショナル3Dプリンタ市場と付随する関連サービスと3次元造形材料の市場は今後も着実に拡大するという。
IDC Japanは2016年7月28日、東京都内で会見を開き、同日に発表した国内3Dプリンティング市場の2013〜2015年の実績と2020年までの予測について説明した。2013〜2014年にかけて注目を集めて市場が一気に拡大した3Dプリンタだが、2015年の3Dプリンタの国内向け出荷台数は前年比20.2%減の7925台、出荷金額では同32.5%減の141億円となった。
同社は、3Dプリンティング市場について、「3Dプリンタ」と「3Dプリンティング関連サービス」、「3次元造形材料」の3つに分けている。さらに3Dプリンタは、平均販売価格が50万円以下の「デスクトップ」、同3000万円以下の「スタンダードプロフェッショナル」、同3000万円以上の「プロダクションプロフェッショナル」に、3Dプリンティング関連サービスも、サービスビューローが行っている「3次元造形受託サービス」と、プロフェッショナル向け3Dプリンタを設置後にサービスサポートで発生する「3Dプリンタ保守サービス」に分けている。
国内3Dプリンタ市場は、3Dプリンタブームが始まった2013年の3861台/115億円から、ブームの真っただ中となる2014年に9927台/208億円と一気に拡大した。しかし2015年は、7925台/141億円と大きく縮小する結果となった。特に、一般消費者向けに家電量販店などでも販売されていたデスクトップ市場の縮小が顕著で、2015年は出荷台数が前年比19.3%減の6300台、出荷金額が同40.9%減の9億2500万円となった。
IDC Japanでイメージング、プリンティング&ドキュメントソリューション マーケットアナリストを務める菊池敦氏は、この急激な縮小の理由として“失望感”を挙げた。「3Dプリンタの造形物の限界が明らかになるとともに、操作に手間が掛かることも分かり、それらの情報が3Dプリンタの早期購入者からSNSなどで情報拡散された。ブームの当初にあった『何でも作れる』というイメージはなくなり、一般消費者の購買意欲が一気に低下した。今後もこの失望感が影響し、2016年以降もデスクトップ市場は減少するだろう」(菊池氏)という。
同社は、国内のデスクトップ3Dプリンタの出荷台数が、2015〜2020年に年平均で10.2%減少すると見込んでいる。2020年の出荷台数は3700台で、出荷金額も年平均で7%減少して6億4200万円になるとしている。
なお2015年の国内デスクトップ3Dプリンタ市場におけるメーカー別シェアは、出荷台数ではXYZ Printing(XYZプリンティング)が44%となり、2014年から引き続きトップを維持した。ただし出荷金額では、Stratasys(ストラタシス)がXYZプリンティングと僅差で1位となっている。なお2015年は、中国企業であるTier Time Technology(ティアタイム)がシェアを伸ばしたという。
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