DMG森精機は「JIMTOF2016」において、金属3Dプリンタと旋盤加工を組み合わせたハイブリッド金属複合加工機「LASERTEC 4300 3D」を出展。JIMTOF2016では多くの企業が金属3Dプリンタ付き複合加工機を出展したが、同社取締役社長の森雅彦氏は「方式をどうこうする段階は終わっている」と考えを述べている。
DMG森精機は「第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)」(2016年11月17〜22日、東京ビッグサイト)において、金属3Dプリンタと旋盤加工を組み合わせたハイブリッド金属複合加工機「LASERTEC 4300 3D」を出展した。
金属3Dプリンタ機能を加えた切削型工作機械は、ハイブリッド複合加工機としてJIMTOF2016では大きな注目を集めている。従来の切削加工機は、金属の素材から対象物の形を削り出していく「引き算」の技術である。そのため、形状によっては多くの材料が切りくずとして無駄に捨てられることになる。一方で、金属3Dプリンタは、金属粉末などを溶かして積んでいき形状を作る「足し算」の技術である。ただ層状にして積み上げていくため、表面などが層模様となりそのままでは利用できない。積層造形後に切削を含めた後処理が必要になるというわけである。
こうした両方の技術的な課題を解決するのが、切削加工機と金属3Dプリンタの機能を併せ持つハイブリッド型の複合加工機である。積層と切削を組み合わせることで、最終的な形状に近い形で材料を積層することで材料の無駄を抑えることが可能になる。また、これに切削をかけることで、金属3Dプリンタ単体時に必要だった工程間の無駄な移動などを抑え、1台で実現することが可能となる。
DMG森精機では2年前のJIMTOF2014で、積層造形(アディティブマニュファクチャリング)機能を組み込んだ複合型の5軸加工機「LASERTEC 65 3D」を出展した。これは5軸マシニングセンタと積層造形技術を融合し、5軸ミーリング加工やレーザー加工と組み合わせることで多彩な形状の形成を可能としたものだ。今回のJIMTOF2016では、既に新製品ではないが金属3Dプリンタと旋盤加工を組み合わせたハイブリッド金属複合加工機「LASERTEC 4300 3D」を前面に押し出し、提案を行った。
JIMTOF2016会期中に開催された記者会見ではDMG森精機の取締役社長の森雅彦氏は「積層造形技術については今さら取り立てて強調するほどのものではないと考えている。当社では、焼き入れを組み込んだり、アーク溶接を組み込んだり、ということを試行錯誤するような段階は既に終わっている。既に他社の追随を許さない段階まで来ている。インコネルやチタンやステンレスなど既存の材料をいかに使い、鍛造や鋳物と同等以上の性能をワークに与えられるかということを研究している。成熟度を見てほしい」と積層造形技術についての考えを述べている。
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