スマート工場化の一方で、機器のラインアップ強化を進めたのが、積層造形を可能とするレーザー技術搭載の超複合加工機である。基本的な方針としてプレミアム複合加工機にはレーザー技術を積極的に搭載し、切削だけでなく、積層や焼入れ、肉盛りなどの機能を新たに加えていく方針を示している。
オークマでは2016年のJIMTOFで、新たにレーザー技術を搭載し3Dプリンティング(積層造形)機能を搭載した超複合加工機「LASER EXシリーズ」を発表※)。工程集約を意識した製品とし、ミーリング、旋削、研削加工に、焼入れ、金属積層造形を1台で行えることを特徴としている。今回のマシンフェアでは、新たに2つのレーザー搭載モデルの新製品と、従来機にレーザー技術を組み込んだいくつかの参考製品を披露した。
※)関連記事:オークマが参入した金属3Dプリンタの複合機、工程集約の立役者は柔軟なスポット径
新製品として出展したのが「MULTUS U4000 LASER EX」と「MU-8000V LASER EX」の2機種である。「MULTUS U4000 LASER EX」は、金属積層造形と仕上げ研削加工、異種金属の部分コーティング、焼入れなどのさまざまな工程を集約できる超複合加工機である。最大加工径は650mmで、主軸回転数は4200min-1、メイン主軸用電動機は30分で22kW、連続稼働で15kWとなっている。対向主軸は3800min-1で、回転工具主軸は1万2000min-1である。
「MU-8000V LASER EX」は、旋削、ミーリング、研削加工に金属積層造形を加えた超複合加工機である。レーザースポット径は0.4〜8.5mmで、最大ワークサイズは世界最大クラスとなる直径1000mm。主軸は1万min-1で、主軸電動機の出力は30分で26kW、連続稼働で18.5kWとなっている。大型サイズに対応したことで、ディスクにブレードを異種金属で積層、加工するような使い方を可能とする。
参考出品としては5面加工門型マシニングセンタ「MCR-BIII」にレーザー加工ヘッドを搭載したモデルや、2サドルCNC旋盤「LU3000EX」にレーザー加工ヘッドを搭載したモデルなどを出展。大型の門型マシニングセンタにレーザー加工ヘッドを搭載することで自動車用のプレス金型に加工後にすぐに焼入れすることなどが可能になる。
伊藤氏は「マシニングセンタなど工作機械も複合化の道を歩んできており、レーザー技術の採用も1つの大きな流れだと考えている。まだすぐには大きな動きはないが、工作機械もプレミアム化とコモディティ化の2極化が進むと見ており、プレミアム化の1つの特徴がレーザー技術の採用だと考えている」と述べている。同社の工作機械はレーザー発振器の共用が可能となっており「コスト面での効率を高めている」(伊藤氏)。
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