特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2017年05月23日 11時00分 公開

日本のモノづくりを活かすIoTの活用方法トヨタ生産方式で考えるIoT活用(8)(2/4 ページ)

[株式会社アムイ 代表取締役 山田浩貢,MONOist]

(4)品質の向上=品質保証

 自工程完結を徹底するために後工程に不良が混入した事象が発生すると、通常の検査工程とは別に特別検査工程として追加で検査工程を作って検査を増やします。不良が後工程に混入すると不良品の回収⇒他の影響範囲の調査⇒類似ロットの回収といった形で一時対応に多大な労力を要します。さらに、再発防止策を実施するために、先程説明した検査工程を追加するなどの方策で工数がかかりリードタイムが長くなります。自工程で不良を全て発見し、後工程に混入しない方策が重要となります。

(5)生産コストの低減

 生産現場ではムダを細かく情報として管理できていないため、金額として把握が難しい状況です。一般的には不良となって廃棄した部品や製品の材料費は正しく把握していますが、生産設備の能力の余剰や工数のムダな部分(手待ちや手直し工数etc.)、エネルギー消費量などについては工程単位や製品単位の把握が不十分に感じます。まだまだ改善によるコスト低減余地はあっても気付いていないのではないでしょうか。

(6)在庫の最適化

 計画のブレが大きかったり、自工程の生産が不安定だったりする場合、まず製品在庫を多めに保有しようとします。ですが、後工程から引き取られた数量が一定とは限らないため、引き取られた分安定した生産が出来ないと欠品が発生します。必要でないものはたくさんあるのに欠品も多発するといった非効率な事が常態化します。

 また、自工程から見ると前工程に部品在庫を確保させて置き、必要な時に取りに行くと必ず物がある状況を作り出すようになります。これは自工程の生産のブレや不安定な原因の解決を図らずに前工程に在庫保有リスクをまる投げしているにすぎません。

 在庫は本来、輸送リードタイムと生産のブレの分を保有するのが基本で、生産のブレを極力ゼロに近づけていくのが、後補充生産の本質です。しかしながら、チョコ停、ドカ停が多かったり、人によってサイクルタイムが異なるような状況下になったりすると、生産のブレ分の係数がどんどん大きくなり余剰と欠品の多発につながります。

 製造現場の業務が十分に実施できない原因には、紙をベースにした道具が中心になっていることも挙げられます。情報収集は紙の日報に記入して見える化ボードに転記する。そして日報を回収してからPCに入力し生産会議などで報告する。後補充の3種の神器である「かんばん」「平準化ポスト」「ストアー」はペーパークラフトによる道具を主体としているため、「印刷する」「ハサミなどで加工する」「貼り付ける」といった手間がかかります。一度きりであれば問題ありませんが、品番の変更や工程レイアウト変更の度に明示の変更を適宜行うことに労力がかかります。今となっては人に優しくない道具だといわれても仕方がないのでしょう。

 まとめますと「人+紙を主体とした道具に頼った管理」は時間の経過と共に現場の実力値を低下していくことになります。

図2 図2 製造現場での課題(クリックで拡大)

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