日立製作所では2022年4月に多様な産業系事業を傘下に収めたCIセクターを設立した。本連載では多彩な事業を抱える日立製作所 CIセクターの強みについて、それぞれの事業体の特徴と、生み出す新たな価値を中心に紹介していく。第1回となる今回は新たにCIセクター長に就任した阿部氏のインタビューをお届けする。
「日立製作所の中で将来を決めるのはコネクティブインダストリーズ(CI)セクターだと考えている」――。そう語るのは、2024年4月にCIセクター長に就任した日立製作所 代表執行役 執行役副社長の阿部淳氏だ。
日立製作所では2022年4月にCIセクターを設立した。空気圧縮機や遠心圧縮機、ポンプや搬送システムなどを扱うインダストリアルプロダクツ事業と、産業領域でのデジタルソリューションを展開するインダストリアルデジタルBU、水・環境BU(ビジネスユニット)に加え、昇降機などを扱うビルシステムBU、家電事業を展開する日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)、半導体製造装置や生化学分析機器を手掛ける日立ハイテクが加わって、産業領域を中心に幅広いカバー範囲を持つ事業体となった。
その中で、CIセクターはそれぞれの事業体を越え「デジタル」や「グリーン」を切り口に「トータルシームレスソリューション」としての提案を行い、成長を続けてきた。本連載では多彩な事業を抱える日立製作所 CIセクターの強みについて、それぞれの事業体の特徴と、生み出す新たな価値を中心に紹介していく。
第1回となる今回は新たにCIセクター長に就任した阿部氏のインタビューをお届けする。阿部氏は、CIセクター長となる以前は、執行役専務 クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット(BU) CEOを務め、さらにそれ以前は、産業・流通ビジネスユニット CEOを務めるなど、日立製作所の中でIT(情報技術)領域とOT(制御技術)領域の両面の深い経験を持つ。「日立製作所の成長の本番はこれからだと考えている」と語る阿部氏が描くCIセクターの将来の姿とはどういうものなのか話を聞いた。
MONOist 新たにCIセクター長として2024年4月に就任して半年がたちましたが、現状についてどう捉えていますか。
阿部氏 前身のインダストリーセクターを担当していた時は日立ハイテクやビルシステムBU、家電などを扱う日立GLSもなく、事業のカバー範囲そのものも異なっていることもあるが、社内の雰囲気が大きく変わっていることは印象的だ。一番大きな違いとして感じるのは一体感が出てきたことだ。
CIセクターが生まれ、クロスBUで価値を提案するトータルシームレスソリューションが進み、製品を売るだけではなく、顧客の課題解決をパートナーと協力しながら、進めていく形が定着してきた。複数のBUで一緒にソリューション提案するなどの動きも当たり前のものになってきている。振り返ると「Lumada(※)」としてデジタルを切り口にソリューション提案を行うことを訴えてきたのが実を結んできたと感じている。
(※)Lumada:顧客データから価値を創出し、デジタルイノベーションを推進する、日立製作所の先進的なデジタル技術を活用したソリューション、サービス、テクノロジーの総称
そういう動きが業績にもつながり、各事業が好調に推移している。CIセクターの調整後EBITAは、2024年度で11.5%の見通しで、2021年度と比較して2.1ポイント上昇している。各BUやBU相当のグループ会社で見ても調整後EBITAは10%を超えている。もちろんリスクもあり、中国の不動産不況や半導体市況の回復などは不透明なところがあるが、それらを踏まえても順調だと捉えている。
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