カメラとブレーキによる自動衝突防止機能からスタートしたADASには、自動運転へのさらなる変革が求められている。ADASはその求められる仕様によってレベル1〜4までの4段階に分けられる。
この中で、レベル1/2は既に量産化されており、今後はレベル3に向けて各社の研究開発が激化している。
レベル4以上の完全自動化にはさまざまな課題が有り、その道のりの険しさは想像に難くない。少なくとも、今後10年はドライバーアシストとしての機能強化を軸に、製品開発や実績の積み重ね、データの構築が求められるだろう。センサーの中心である車載カメラにしても、「低照度対応」「低ノイズ化」「光利用効率拡大」の3分野でさらなる技術の進化が求められていく。さらにレベル4の実現となると、Radar(ミリ波レーダー)、Lidar(ライダー)、超音波ソナーなどのキーデバイスが必要となるだろう。
表1は、1台の車両における各種センサー搭載数量の予測について、ADASのレベル別にその平均数量を示したものである。自動車メーカー各社は、現在のところ全ての車両にセンサーを載せているわけではない。主にフラグシップ(高級車)や戦略モデルにADAS機能を搭載している。
現在のADASはレベル2の段階で、カメラは3〜5台、Radarは機種によりバラつきが多く、0台から最大5台のものまである。最も多く採用されているのは超音波ソナーであり、8〜10台と非常に多い。
センサー | レベル1 | レベル2 | レベル3 | レベル4以上 |
---|---|---|---|---|
センシングカメラ | 0〜1 | 3〜5 | 3〜6 | 3〜6 |
Radar | 0〜3 | 0〜5 | 3〜6 | 6〜15 |
Lidar | − | − | − | 1〜2 |
超音波ソナー | 4〜8 | 8〜10 | Radarに置き換え | Radarに置き換え |
表1 各種センサーの予想搭載数量 出典:IHS Markit Technology |
これらのオートモーティブセンサー市場は、2016年時点で、Radarが1250万台、Lidarが10万台レベル、赤外線カメラが20万台の市場規模とIHSでは見ている。
そして、2022年にはそれぞれ、Radarは4910万台(2016〜2022年の年平均成長率で25.6%)、Lidarは490万台(同117.8%)、赤外線カメラは60万台(同17.0%)に達するとIHSでは予想している。レーザーやミリ波を使用したADASの開発は欧米が先駆けてきたが、現在は日系メーカーも急追しており、今後の展開に注目が集まる。
李 根秀(り くんす) IHS Markit/Technology部門 主席アナリスト
1987年、群馬大学 工学部 電子工学科を卒業。オランダ・フィリップスでマーケティング部マネージャー、ならびに米国ガートナー、米国アイサプライでアナリスト業務の実務経験を積んだ後、証券アナリストに転身。証券アナリスト時代には民生(家電)産業銘柄を担当する。2012年より現職。IHS Markitでは日本の基幹産業全般をカバーする調査とコンサルティング業務に従事する。
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