今後の製造業の発展に向けて必要不可欠とみられているIoT(モノのインターネット)。本連載では、IoTの現在地を確認するとともに、産業別のIoT活用の方向性を提示していく。第4回は、IoTの活用が期待されている自動車産業について、主要各国市場の動向について説明する。
世界における代表的産業の1つである自動車産業は、エレクトロニクス産業からの流れを受けて盛り上がるIoT(モノのインターネット)の適用範囲が広がっていることに伴って注目されている。
かつての伝統的なエレクトロニクス産業と同様に、自動車産業は世界経済の発展や所得の増大、また人口とともに発展してきたといえ、今後も市場が形成されることで、産業自体の発展が予測される。もちろん、経済や産業の発展に伴う資源需給のバランスや、地球環境変化に対応するべく、IoTなどを含めた技術革新の発展は不可欠である。しかし同時に、持続可能な社会を形成するために政府の役割や規制、政策の役割は小さくないといえよう。
IHSでは、交通部門における自動車(ライトビークル車両:車両総重量で6トン未満の乗用車及び商用車。自動二輪・三輪車や超小型モビリティ車両、及び重量車の中大型トラックやバスなどは除く)に関する台数予測を行っており、世界各国の選挙結果による政策や、政治の変化、革新的技術が起こりつつも、世界的な自動車市場は拡大成長を続けるとみている。
2000年にはおおむねライトビークル車両の新車販売ベースで5500万台であったものが、2008年のリーマンショックによる金融危機を経た後も2010年で7千万台超、2016年で9千万台超となっており、今後2020年の約1億台を目指して発展中である(図1)。
ただし、今後の成長の中心的な役割を担うのは主に新興国市場である。世界販売台数の内、新興国市場が占める割合を新興国販売比率とした場合、現状で55%弱程度であるのに対し、将来的に2020年あたりで6割前後になると予測されている。
中でも市場のけん引役となるのは、大国である中国やインドなどだ。巨大な人口を抱えていることや、経済成長や所得増大に伴い自動車を購入できる層が増えていくことで、新規需要による保有増大と増大した保有車の買い替え需要が相まって市場拡大の背景となっている。
一方で、足元では堅調な自動車販売を見せている北米や欧州など成熟市場は、基本的には買い替え需要が大部分であり、今後爆発的に需要が増大して行くとは考えにくい。景気の上下により幅は出るものの、ほぼ横ばいか微増程度となるであろう。
こうした中で、IoTでつながる機器の搭載台数(携帯電話連携型、電話回線組み込み型、及びハイブリッド型の総数)、いわゆるコネクテッドカーの台数予測を見ると成熟市場を中心として今後の拡大がみてとれる(図2)。
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