IoT化する自動車、ADASの進化で車載カメラとレーダーの市場規模が急拡大IHS Industrial IoT Insight(5)(2/3 ページ)

» 2017年05月09日 11時00分 公開

ADAS向けの画像認識カメラは欧州メーカーが開発をけん引

 IHSでは、2016年時点の車載カメラの世界市場規模は5190万台であったと見ている。

 車載カメラは、世界的に本格的な普及期に入っており、視界補助(リアビュー)カメラと画像認識(ADAS)カメラの双方で期待が持たれている。

 画像認識(ADAS)カメラの普及に関しては、高額な価格がネックとなり視界補助(リアビュー)に比べてスピードは緩いものの、ハイエンドとミッドレンジクラスでは搭載が始まっている。

 しかし、双方を合わせた車載カメラモジュールは、2022年には1億4000万台(2016〜2022年の年平均成長率は18.1%)市場に成長するだろう(図2)。また、将来は自動車の安全や制御、情報収集に至るさまざまな期待がカメラの搭載に拍車を掛け、携帯電話機に次ぐマーケットに成長するとIHSでは見ている。

図2 図2 ADAS用センサーモジュールの出荷予測(クリックで拡大) 出典:IHS Markit Technology

 この市場成長ペースは、過去に起こった携帯電話機へのカメラの普及ペースと比較しても決して弱いものではない。車載カメラ投入率(車両台数と車載カメラ台数の単純比較)の中期予測では、2017年は60%に、2020年は100%に達するとみられる。このペースで普及が進むと2021年には携帯電話機のカメラ普及率を超えるだろう。

 当初、車載カメラモジュールは日本メーカーが中心となって開発を進めてきた。その時点では、画像認識(ADAS)カメラではなく、視界補助(リヤビュー)カメラが中心であった。

 一方、画像認識(ADAS)カメラについては、法整備が進んでいる欧州メーカーが中心となって開発を進め、業界をリードしていることを認識すべきである。画像認識(ADAS)カメラには、ヴァレオ(Valeo)、コンチネンタル(Continental)、ボッシュ(Rober Bosch)などが中国、台湾、韓国のレンズメーカーとの協力関係を結んで製品を手掛けるサプライチェーンを構築している。

 とりわけ中国浙江省寧波に本社を持つサニーオプティカル(Sunny Optical)は、上記メーカーの他、デルファイ(Delphi)、マグナ(Magna International)、TRW、モービルアイ(Mobileye)などほとんどのティア1サプライにレンズを供給しており、サプライチェーンの中でも注目株だ。

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