Wonderwareは、業界初のWindows用監視制御ソフトウェア「InTouch」などで知られる。全世界130カ国以上の約12万のプラントに、合計80万以上のライセンスが導入されている。国内ではキヤノンITソリューションズと日鉄住金テックスエンジが代理店になっている。
今回発表したSystem Platform2017は、工場やプラントにおけるさまざまな情報をIoT(モノのインターネット)によってつなげて活用するためのIoTプラットフォームになる。主に工場/プラントで用いられているOT(制御技術)を一括してカバーする一方で、ERPをはじめとするIT側との接続はインタフェースを用意する形で対応する。
最大の特徴は、工場やプラントで一般的に使用されている機能や設備を抽象化/モデル化したものを「オブジェクト」として用意し、このオブジェクトを派生させることで必要となる機能や設備を自在に用意できるようにしたアプリケーション開発の仕組みだ。「全くプログラミング言語を使わずに開発できるので、効率よく開発や変更を繰り返せるだろう」(シュナイダーエレクトリックソフトウェア 営業本部 ソリューション事業部 大矢征仁氏)。
また、System Platform2017で重視している他システムとの連携についても、オブジェクトを一元管理する仕組みにより、情報を修正した際に全てのシステムの情報やひも付けの変更を自動で行えるようにした。
この特徴により、開発コストが従来比60%削減、オペレーターの気付きが同5倍、生産性が同10%増という導入効果を得られたという。
System Platform2017には、未来のHMIと監視制御の次の30年先を考えた「タッチ操作」「見える化」「複数装置」という3つの特徴もある。
「タッチ操作」は、大型タッチパネルやタブレット端末の画面をタッチ操作することで監視制御を行えるようにしたものだ。複数同時タッチ操作、複数画面同時タッチ操作が可能になる。そして「見える化」では、SCADA(監視制御システム)では難しかったマルチCPUを用いた並列処理への対応、4K解像度のサポート、地図やカメラといった他アプリケーションとの連携が可能だ。今後も、Webブラウザへの対応などを順次進めて、機能を充実させていくとしている。
工場/プラントでIoTプラットフォームを導入すると、複数のシステムを連携して使うことになり、多くの画面を見てそれぞれ操作する必要が出てくる。System Platform2017は、それらを1つのプラットフォームとHMIに統合してタッチ操作できるので、そのような問題を解消できる。これが「複数装置」の特徴になる。
System Platform2017は、工場/プラントと企業の基幹システムをつなげることを検討している顧客向けの製品となる。現時点では、マイクロソフトやSAPのERPと接続するためのインタフェースソフトウェアを用意しており、今後は“つながる”対象をさらに拡大していきたい考えだ。
また、シュナイダーエレクトリック マーケティング本部長の永坂良太氏は、ドイツ・ハノーバーで開催中の「ハノーバーメッセ2017」(2017年4月24〜28日)で発表したインダストリー向けIoTプラットフォーム「EcoStructure for Industory」とSystem Platform2017の関係について説明した。
永坂氏は「EcoStructure for Industoryを国内展開していく上で重要な役割を果たすのが、今回発表したSystem Platform2017だ。EcoStructure for Industoryそのものの国内展開については、今後詳細を順次発表していきたい」と述べている。
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