フランスのシュナイダーエレクトリックは、新たに同社のノウハウやエネルギー管理技術などの特徴を盛り込んだ業種別のIoTプラットフォーム「EcoStruxure」を、本格展開する。
フランスのSchneider Electric(シュナイダーエレクトリック)は2016年12月8日、IoT(モノのインターネット)の国内展開について戦略発表会を実施。国内市場においても同社が展開する業種別のIoTプラットフォーム「EcoStruxure(エコストラクチャー)」を本格展開することを発表した。
シュナイダーエレクトリックは、日本ではUPS(無停電型電源)などデータセンター向けのソリューションで有名だが、グローバルではBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)などを含めたビル向けのソリューションや、プロセスオートメーションなどの売上高が大半を占めている。そのため、1990年代後半からインターネットを利用しIPベースで機器から情報を取得する今のIoTのコンセプトに近い製品などを開発し、実践的なノウハウを蓄積してきている。
シュナイダーエレクトリック(日本法人) 日本統括代表のシャムス・ゼン(Sjamsu Zen)氏は「IoTは将来の展望ではなく現実的なテーマとなっている。実際にシュナイダーエレクトリックの売上高の45%がIoT関連だといえる」と述べている。
今回新たに展開を強化する方針を示したのが、産業などに応じ、ハードウェアやソフトウェア、ネットワークやインテグレーションなどを最適な形で組み合わせたIoTプラットフォーム「EcoStruxure」である。製品レベル、エッジコントロールレベル、デジタルサービスレベルの3つの中核層で構成され、これらにシュナイダーエレクトリックの組み込み技術やオペレーション技術、デジタルサービス技術などを含むノウハウを注入し、産業別で組み合わせベストプラクティスの形で提供できるようにする。
EcoStruxureは、基本的にはオープンスタンダードを活用し、シュナイダーエレクトリックの製品だけでなく、競合他社の製品も組み合わせることを可能としている。相互運用性も確保し、マルチベンダー環境や、古い既存設備などでの利用も確保しようという点が特徴である。既に海外では2007年から展開されてきたが、今回は新たにこのEcoStruxureを、ビルディング、電力グリッド、工場プラント、データセンターの4分野に向けて最適化したソリューションの提供を行い、合わせて日本での取り組みも強化していく方針である※)。
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既にプラットフォームパートナーとして、米国のマイクロソフトやインテルなど大手企業などの他、8000以上のシステムインテグレーターが参加している他、ネスレやペプシコなど、プラント系での導入企業も多く存在しているという。
国内向けのIoTに関する同社の導入状況は、基本的にはエネルギー関連が中心となっているが、将来的には製造業向けでの拡大を推進していく方針である。シュナイダーエレクトリックでは、製造装置などに組み込まれるオペレータ用タッチパネルを扱うPro-faceや、ソフトウェアベースのプロセス監視制御ソフトを扱うWonderware※)などを買収し、工場や製造業向けのポートフォリオを拡大。今後はこれらの販路などを生かしながら、製造装置のIoT化のサポートや、工場のIoT化支援などに取り組んでいく方針である。
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シュナイダーエレクトリック(日本法人) ストラテジー&ビジネスディベロップメント ディレクターの吉田稔氏は「国内で製造されている製造装置は430万台あるとされ、そのうち61%が海外に輸出されている。製造装置メーカーもグローバル化が求められているが、こうしたグローバルでのIoT化の動きについても、グローバルでバランスよく地域展開している当社はサポートが行える。徐々に取り組みを広げていきたい」と述べている。
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