第4次産業革命、2030年に日本の製造業が“あるべき姿”とは?製造業IoT(1/4 ページ)

第4次産業革命にどう立ち向かうべきか。安倍政権における「ロボット新戦略」の核として取り組みを進める「ロボット革命イニシアティブ協議会」で、製造業のビジネス革新をテーマに取り組む「IoTによる製造ビジネス変革WG」が中間とりまとめを公表。日本の製造業の強みである「人」や「現場力」を生かしつつIoTなどを取り込む上での論点をまとめた。

» 2016年02月03日 08時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 第4次産業革命とは、IoTやビッグデータ、人工知能などにより産業構造が大きく変革していく動きのことである。ドイツの「インダストリー4.0」などが発端となり一気に顕在化してきた。第4次産業革命は完成した姿があるわけではなく、現在進行形の状態である。一方で、1社や1業界だけではこれらの世界を実現できるわけではなく、企業間や業界間の協力が大きなカギを握る。

 これらの動きに合わせて、日本の製造業領域において、この革新の動きの全容を捉え協力の土台作りをするために生まれたのがロボット革命イニシアティブ協議会の「IoTによる製造ビジネス変革WG」である(関連記事)。ロボット革命イニシアティブ協議会は安倍政権におけるロボット新戦略の実行組織として、ロボット革命実現会議での議論を土台に生まれた組織だ。そのワーキンググループ(WG)の1つである「IoTによる製造ビジネス変革WG」が組織されている。

 「IoTによる製造ビジネス変革WG」は、インダストリー4.0に象徴される製造業革新の動きに日本としてどう取り組んでいくかという点について協議を進めている。最終的にはIoTやICTの進展により変化する製造業の枠組みに対し、日本企業が強みを維持し続けるためにはどういうことが必要かということを共通の土台を持って、世界に発信していけるようにするのが目標としている。これらの目標に向け、最初の1年の取り組みをまとめた中間とりまとめがこのほど、公開されている。

「IoTによる製造ビジネス変革WG」における検討範囲

 インダストリー4.0やIoTによる製造業革新の動きは、関連する分野が多岐にわたるため、検討方法や検討の範囲(スコープとフレーム)の設定が難しい。「IoTによる製造ビジネス変革WG」では、まず検討方法として以下の3点を定めた。

  1. 共通課題の抽出に用いる検討の範囲の整理
  2. 2030年において想定される日本の製造業の在り方の共有
  3. これらをもとにした共通課題の抽出と検討

 さらにこれらの大きな枠組みを元に、さらにサブ幹事会などを用意し、分野における共通課題を検討しつつ、ITや制御(電機)などの観点からの分野共通課題の整理を行うとしている。

 検討の範囲としては、主に「業務の変革」「企業間の変革」「IoTがもたらす新たな価値の変革」の3つのポイントを探る。

 IoT時代には、常に製品はネットワーク接続しており使用状況や環境情報などのさまざまな情報を取り続ける他、アップデートや制御なども行える。こうした新しいプラットフォームが登場する中で、エンドユーザーにどういう価値をもたらすことができるのか、またこれを実現するためには企業内の業務プロセスをどう変革し、企業間のエコシステムをどう変革すべきなのかを検討する。

photo IoTによりもたらされる価値のプラットフォームのイメージ 出典:IoTによる製造ビジネス変革WG

 業務プロセスとしては、モノを中心としたあらゆるプロセスを対象とする。研究開発、製品開発、設計、製造(生産設備開発やCAMなど含む)、PLM(エンジニアリングチェーン)の範囲などの製品ライフサイクルを軸としたプロセスが1つだ。一方で部材SCMや製造、作業外注、製品SCMなど、製造を中心としたバリューチェーンや事業運営といった観点で、現場から経営までを結ぶプロセスがもう1つの視点となる。さらに、運用・保守サービスや新規参入の動きなども含むとしている。

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