「つながる」スクーターが2017年春に登場、メーター表示を好みにカスタマイズ車載情報機器

台湾の二輪メーカーであるKYMCOは、「第44回東京モーターサイクルショー」において、スクーターとスマートフォンを連携させるシステム「Noodoe」を紹介した。Noodoe対応車種は2017年春から販売予定で、スマートフォンアプリは2017年4月から提供する。

» 2017年03月27日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 台湾の二輪メーカーであるKYMCO(キムコ)は、「第44回東京モーターサイクルショー」(2017年3月24〜26日、東京ビッグサイト)において、スクーターとスマートフォンを連携させるシステム「Noodoe」を紹介した。2017年1月のCESで公開したシステムだ。

 Noodoeは、スマートフォン向けの専用アプリを起動し、車両とスマートフォンをBluetoothで接続して利用する。スクーターのメーターに配置されたディスプレイで、天気や時間、ナビゲーション情報、不在着信やメールやSNSの受信などを確認するシステムだ。表示部は自由にカスタマイズできる。

 スマートフォンをハンドルに固定するホルダーは市販されているが、画面がぬれた場合やグローブ着用中にはタッチ操作が難しくなる。また、ホルダーから端末を落として破損する可能性もあるため、メーターのディスプレイにスマートフォンの情報を表示する利点があるとしている。

 Noodoe対応車種は2017年春から販売予定で、スマートフォンアプリは2017年4月から提供する。

つながる機能が標準装備のスクーターを2017年春に発売する(左)。中央のディスプレイにさまざまな情報を表示できる(右)(クリックして拡大)

メーターに何を表示する?

 Noodoeでは、メーターのディスプレイに表示する内容を「時計」「天気」「コンパス」からユーザーが選択する。天気は、現在の天候だけでなく、数時間単位の予報や気温など好きなものを選んでカスタマイズできる。

 コンパスはスマートフォンの位置情報を利用したもので、地図ではなく距離と大まかな方向を示すナビゲーションシステムだ。ガソリンスタンドやキムコの販売店といった施設を表示する「ディスカバリーコンパス」、アプリで作成したグループの所属メンバーの現在位置を示す「グループコンパス」、目的地までの距離や方角、走行時間を示す「ディスティネーションコンパス」の中から必要な機能を選ぶことができる。

 グループコンパスで表示されるメンバーはNoodoeのアプリのユーザーに限られ、事前に作成したグループのメンバーの位置情報が共有される。ツーリングなど複数台で移動する際に便利だという。ディスティネーションコンパスの目的地はアプリ上で設定する必要がある。

 メーターのディスプレイはハンドルのスイッチで表示を切り替える。アプリ上で速度表示を含めて最大4パターンの表示があり、「コンパス2パターンと天気」といった表示の組み合わせはユーザーが指定できる。

ディスプレイに表示する内容はアプリで選択する(左)。選択した内容が表示される(右)(クリックして拡大)
スマートフォンのアプリと同期する様子(クリックして拡大)

ユーザーのコミュニティーが生まれる

 ディスプレイに表示する時計、天気、コンパスは、ユーザーが自由にデザインできる点もNoodoeの特徴だ。アプリにデザインを編集する機能があり、撮影した写真や好みの画像も使用可能だ。

デザインはひな型から選ぶことができる(左)。撮影した写真など画像も自由に使える(右)(クリックして拡大)

 表示のデザインをアプリを通じてNoodoeのユーザー同士で共有する機能もある。他のユーザーがデザインした表示を自分の車両で使うこともできる。デザインが好みのユーザーをフォローしたり、「いいね」やコメントで評価を伝えたりするなど、Noodoe自体がSNSとなるよう開発した。

 この他にも、電話の不在着信や、各種SNSのメッセージの受信をディスプレイで確認することもできる。メッセージは一定以下の文字数しか表示されない。信号待ちなどで停止した時に確認してもらいたいとしている。

5件の着信・受信があることを知らせている(左)。「ワッツアップ」というSNSで受信したメッセージ(右)(クリックして拡大)

目新しい提案ではないが

 メーターのディスプレイにスマートフォンの情報を表示する機能は、「多くの二輪メーカーがコンセプトモデルで提案してきたので目新しくはないが、量産モデルでの採用はわれわれが先駆けている」(キムコジャパン 広報企画室 室長の伊庭武臣氏)。

 採用に至ったのは、台湾にIT企業が集積しており開発しやすい環境だったことと、キムコがスクーターなど日常の足となるコミューターを中心に手掛けていたのが理由だという。

 「通勤や通学など日常の移動が電車であれば、スマートフォンを操作する時間がある。しかし、スクーターでの移動となると、運転中はつながることができなくなる。趣味性の高い中大型バイクは運転そのものが目的なので、運転中につながりたい人は多くない。運転中であってもつながりたいという声はコミューターを使う人から聞かれる」(伊庭氏)。

電動スクーターなど他の車種にもNoodoeを展開する 電動スクーターなど他の車種にもNoodoeを展開する(クリックして拡大)

 Noodoeのスマートフォンアプリは無料で、iPhone向けを2017年4月から公開、Android向けも順次提供していく。Noodoe搭載の車両は今春に発売し、台湾や欧州、日本での展開を予定している。最初にNoodoeを採用するのは排気量550ccの上級車種「AK550」で、標準搭載とする。その後、電動スクーター「COZY」などさまざまな車種でオプション装備として展開していく。

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