CarPlayの「究極のドライビングパートナー」っぷりを試す車載情報機器(1/4 ページ)

アップルが2014年3月のジュネーブモーターショーで「CarPlay」を発表してから2年。ようやく日本でも自動車メーカーがCarPlay対応モデルを市場投入し始めた。アップルはCarPlayを「車の中でiPhoneを使う、より優れた安全な方法」で「究極のドライビングパートナー」だとする。750kmのドライブでCarPlayを試し、“パートナーっぷり”を確かめた。

» 2016年04月06日 10時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
Appleが車載情報機器とiPhoneを連携させる「CarPlay」を発表した2014年のジュネーブモーターショーから2年経ち、CarPlay対応車種が増え始めた Appleが車載情報機器とiPhoneを連携させる「CarPlay」を発表した2014年のジュネーブモーターショーから2年経ち、CarPlay対応車種が増え始めた (クリックして拡大)

 Apple(アップル)が2014年3月のジュネーブモーターショーで車載情報機器とiPhoneを連携させる「CarPlay」を発表してから2年。ようやく日本でも自動車メーカーがCarPlay対応モデルを市場投入し始めた。

 ゼネラルモーターズ・ジャパン(GMジャパン)は「日本国内向けでは初めて」(GMジャパン)、主要9モデルでCarPlay対応の車載情報機器を標準装備としている。スズキは、車載情報機器の無償アップデートにより計5モデルでCarPlayを利用可能にした。

 新車装着用の車載情報機器で採用実績を積み重ねつつあるCarPlayは、アップルにとって一定の成功を収めていると言えそうだ。アップルはCarPlayを「車の中でiPhoneを使うための、より優れた、より安全な方法」で「究極のドライビングパートナー」だと説明する。そこで、3日間、合計750kmのドライブでCarPlayを使い、その“パートナーっぷり”を確かめてみた。

CarPlayと既存の車載情報機器の機能のすみ分け

 GMジャパンが2015年12月に一部改良してCarPlayに対応させた、キャデラックブランドの中型セダン「CTS」でCarPlayを試した。キャデラックブランドのモデルには車載情報機器としての機能や空調の制御、電話やショートメッセージの送受信、各種設定を集約した統合制御ナビゲーションシステム「CUE(キャデラックユーザーエクスペリエンス)」が新車装着用に設定されている。CarPlayはあくまでCUEの機能の1つという位置付けだ。

 General Motors(GM)を始め自動車メーカー各社は、CarPlayと、Google(グーグル)が開発するAndroid端末と車載情報機器を連携させる機能「Android Auto」の両方に対応していく方針だ。Android Autoについても、CarPlay同様に自動車メーカー独自の車載情報機器の機能の1つとして扱われるだろう。

キャデラック「CTS」キャデラックの統合制御ナビゲーションシステム「CUE」の一機能にCarPlayが加わった キャデラック「CTS」(左)。キャデラックの統合制御ナビゲーションシステム「CUE」の一機能にCarPlayが加わった(右) (クリックして拡大)

 CarPlayとCUEはうまく共存している。両方を起動させたままスイッチ1つで画面を切り替えて使い分けることができた。CarPlay起動中はCUEが使えない、といった事態にはならない。反対に、CUEのカーナビゲーション機能を使用していても、音声エージェント「Siri」起動用のステアリングのスイッチを押すとSiriが用件を尋ねてくれるので、CarPlayとCUEの画面を切り替える煩わしさはなかった。

CUEの画面CarPlayの画面 CUE(左)とCarPlay(右)のホーム画面。右下の赤い○で囲んだスイッチでCUEとCarPlayの画面を切り替えることができる (クリックして拡大)

 ただ、Siriが対応してくれるのはCarPlayの操作のみで、CUEの操作は自分の手を動かす必要がある。例えば、CarPlayでiPhoneの音楽を聞いている時に、ラジオで渋滞情報を聞こうとすると、手動でCUEの画面を呼び出し、オーディオ画面からAMラジオを選び選局しなければならない。もちろん、CarPlayに対応したラジオアプリがiPhoneにダウンロードされていれば、Siriで操作できる。CarPlayはiPhoneを運転中に操作する目的に特化しているのだ。

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