今回は「ミュージック」「メッセージ(iMessage)」「電話」「マップ」の4つのアプリで、Siriとディスプレイ画面のタッチ入力の両方の操作を試した。
Siriに話しかける音声を拾うマイクは、ドライバー頭上の天井に装着されている。もちろん上を向いて話しかける必要はない。サンルーフを開けていると雑音が多いためか認識率は落ちるが、サンルーフを閉めれば特に聞き取れないことはない様子だ。
Siriを起動させるスイッチはステアリングの左手親指が最も近いところに配置されている。このスイッチを長押しするとiPhoneと同じようにSiriが指示を聞いてくれる。CarPlayでも音声入力の処理時間に変化はなく、いつも通りのSiriが対応する。
音楽を聞く場合は、Siriに「○○のプレイリストを再生して」「××の曲が聞きたい」と言えばこれで操作が完了する。ディスプレイに表示されるプレイリストや曲名の並びはiPhoneに保存した順序そのままなので、画面上で曲を選ぶ場合も普段のiPhoneの使い勝手と大差ない。
アップルが「より安全な方法」とうたうように、シフトレバーの操作に合わせて操作画面が変わる。ギアがパーキングに入っているとiPhoneのミュージックアプリにある全ての曲やアルバム、プレイリストを見られるが、ギアをドライブに入れると再生中のプレイリストに関連したアルバムや曲しか表示されず車載情報機器の画面をスクロールできる範囲が狭くなる。
運転中に曲を探して車載情報機器の画面を長々とスクロールするのでは、スマートフォンをいじるのと同じくらい危険だ。CarPlayは単純にiPhoneのアプリを抜き出して車載情報機器に表示するわけではなかった。
CarPlayのiMessageは、音声入力による文章作成と、Siriによる読み上げのみに機能を絞っている。ギアがパーキングに入っていても、タッチ入力で文章を作成したり、車載情報機器の画面で届いたメッセージを読むことはできない。
タイミングが悪く運転中にはメッセージを受信しなかったが、新着のメッセージがある時にアプリのアイコンを選ぶと、Siriが「○○さんからメッセージが届いています」と言い、文章を読み上げる。その後、「返信を作成しますか? もう一度読みますか?」と尋ねてくる。
文章を音声入力で作成する時に気になったのが、Siriには句点が伝わらないという点だ。2文以上の長さでもSiriは誤変換せずに正確に聞き取るが、句点のない変な1文になってしまった。1文に収まる短いメッセージを想定しているのかもしれない。
車載情報機器の画面では送受信した文面を見ることができないのが基本になるとすれば、短時間でやりとりが連続すると少し不便になるだろう。運転中にメールの送受信を繰り返すな、というアップルからの警告が感じられる。また、複数人でもやりとりできるiMessage以外のメッセージアプリはCarPlayに対応しても使いにくくなりそうだ。
電話は、Siriに相手の名前を言えば操作が完了する。「自宅」「勤務先」など複数の電話番号がある場合は、その種類もSiriに伝える必要がある。車載情報機器の画面で連絡先一覧を見て電話をかける相手を選ぶこともできるが、ギアがドライブに入っていると画面をスクロールできなくなる。
CarPlayはドライバーに車載情報機器の画面を注視させないことを意識し、Siriを活躍させている。停止中に車載情報機器の画面で操作する場合にも、iPhoneと使い勝手が変わりすぎないようにしているようだ。
CarPlayさえあればGMのCUEが不要かというと、そうは言いきれない。スピーカーや空調の細かな設定、FM/AMラジオや地上デジタル放送の視聴など、CarPlayがカバーしきれていない範囲もある。
また、マップアプリの地図の見せ方は好みが分かれそうだ。人によっては、車載情報機器メーカーが作ったカーナビゲーション(カーナビ)機能の方が良いと感じるかもしれない。
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