“空飛ぶクルマ”を手掛けるSkyDriveが、外部から資金調達するスタートアップ企業としてステークホルダーからの期待や経営課題にどのように向き合っていくかを語った。
日本オラクルが2025年7月23日に東京都内で開催したクラウドERP「Oracle NetSuite」のユーザーイベント「SuiteConnect Tokyo 2025」において、“空飛ぶクルマ”を手掛けるSkyDriveの管理部 総務・ITグループ マネージャーの佐野琢也氏が講演した。同氏はSkyDriveの設立から携わり、コーポレート部門の立ち上げなども経験。外部から資金調達するスタートアップ企業が、ステークホルダーからの期待や経営課題にどのように向き合っていくかを語った。
SkyDriveは2018年7月に創業。物流用のドローンなど人が乗らない領域と、人を乗せる空飛ぶクルマの両方を対象に、開発や製造、販売を手掛ける。ドローンショーの企画や運航も行う。本社は愛知県豊田市。東京や大阪、愛知県にある県営名古屋空港に拠点を持つ他、製造を担うSky Worksや、米国法人のSkyDrive Americaも子会社に持つ。従業員数は310人だ。
空飛ぶクルマという呼称は、自動車のように日常的に気軽に使える空のモビリティを指して、日本でよく使われている。垂直に離着陸できるため滑走路が不要で、機体が小型のため、飛行機よりも幅広い場所を離着陸に使うことができるのがメリットだ。電動であること、操縦が容易であることも特徴だ。騒音や飛行難易度を改善するとともに、機体コストも削減し、空の移動を日常にしていく。
SkyDriveはスタートアップ企業で、空飛ぶクルマも発展途上のモビリティだ。スタートアップ企業に共通の普遍的な悩みがあると佐野氏は説明する。
例えば、起業から事業化までの「死の谷(リスクが大きく、経営判断が難しいため失敗するケースが多いことを指す)」、事業を広げていく上での「ダーウィンの海(競合との比較で製品や企業が生存競争にさらされることを指す)」、組織が拡大する中での「30人の壁(経営陣の目が行き届きにくくなる人員規模のこと)」「官僚化」、その先の事業多角化まで、従業員数や収益の拡大に応じて課題が待ち構えている。また、従業員数と収益の拡大は一直線に進むのではなく、スクラップ&ビルドを繰り返しながら成長していくという。
SkyDriveも同様の流れを経て進んでいると佐野氏は述べた。2020年ごろまでが創業期で、社長の決裁で全てを進め、細かな数字も社長が直接把握できていた。人事制度も「ほとんどないようなものだった」(佐野氏)。2022年ごろにかけては人員規模が100人ほどに増え、組織化も進んだ。グループがあり、リーダーやマネジャーが管理する階層も生まれた。2022年以降は領域ごとにCXO(企業における組織/領域の最高責任者)を指名し、1つ1つの部門に責任者を置く体制となった。
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