国内外ともトヨタの強さが光る、2025年8月の日系自動車メーカー生産動向自動車メーカー生産動向(1/3 ページ)

2025年8月の日系自動車メーカーの世界生産は、トヨタ自動車と日産自動車以外が前年割れとなり、8社の世界生産合計は2カ月連続で前年実績を下回った。各社ともに増減理由はまちまちだが、国内/海外ともに改めてトヨタ自動車の強さが光る結果となった。

» 2025年10月31日 06時00分 公開
[MONOist]

 2025年8月の日系自動車メーカーの世界生産は、トヨタ自動車と日産自動車以外が前年割れとなり、8社の世界生産合計は2カ月連続で前年実績を下回った。各社ともに増減理由はまちまちだが、国内/海外ともに改めてトヨタの強さが光る結果となった。全体では中国を含めアジアの経済低迷やトランプ関税による影響が表面化した他、国内では新型車投入に向けた準備などがマイナス要因となった。とはいえ、今後は「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー) 2025」に合わせて投入する新型車をはじめ、世界的に需要が高まるHEV(ハイブリッド車)や、中国もEV(電気自動車)のニューモデルをきっかけに復調の兆しを見せるなど、日系メーカー各社にとっては比較的好材料がそろっているとも言えそうだ。

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 8月の8社合計の世界生産は、前年同月比2.1%減の181万6107台と前年実績を下回った。このうち海外生産は、同3.2%減の129万8438台と3カ月ぶりに減少した。前年越えはトヨタと日産のみ。地域別では、北米が同2.1%増の50万2116台と3カ月連続のプラスとなったが、回復基調を見せていた中国が同2.2%減の23万9990台と3カ月ぶりにマイナスへ転じた。東南アジアもタイやインドネシア、マレーシアなどが厳しく、台数を落とすメーカーが目立った。

 一方、国内生産の8社合計は、前年同月比0.9%増の51万7669台と微増だが2カ月ぶりのプラス。トヨタ、ダイハツ工業、マツダの3社が前年実績を上回ったが、ホンダ、日産、SUBARU(スバル)、三菱自動車の4社は2桁%減と低迷し、明暗が分かれた。

2025年8月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 207,990 536,186 197,825 125,383 744,176
12.0 2.4 11.2 ▲ 8.2 4.9
ホンダ 44,586 222,419 136,559 50,011 267,005
▲ 11.6 ▲ 13.3 ▲ 5.1 ▲ 19.5 ▲ 13.0
スズキ 71,121 170,628 - - 241,749
▲ 1.2 ▲ 6.7 - - ▲ 5.2
日産 34,020 203,921 111,580 57,962 237,941
▲ 18.2 4.9 3.3 36.4 0.8
ダイハツ 56,569 63,899 - - 120,468
14.1 ▲ 13.7 - - ▲ 2.6
マツダ 48,903 35,851 24,362 6,634 84,754
4.3 ▲ 8.8 ▲ 18.1 103.4 ▲ 1.7
スバル 28,852 31,790 31,790 - 60,642
▲ 22.1 ▲ 1.5 ▲ 1.5 - ▲ 12.5
三菱自 25,628 33,744 - - 59,372
▲ 14.6 ▲ 7.8 - - ▲ 10.9
合計 517,669 1,298,438 502,116 239,990 1,816,107
0.9 ▲ 3.2 2.1 ▲ 2.2 ▲ 2.1
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタの8月のグローバル生産台数は、前年同月比4.9%増の74万4176台と3カ月連続のプラスとなった。中でも国内生産は、同12.0%増の20万7990台と大幅に増加し、2カ月ぶりに前年実績を上回った。前年8月が、型式指定申請の不正で「ヤリスクロス」「カローラフィールダー」「カローラアクシオ」の生産を停止していた他、台風10号の影響により国内全14工場28ラインの稼働を停止した反動で増加。稼働日が多いこともプラスとなった。輸出も北米や中南米、アフリカ向けが伸長し、同1.9%増の13万4990台とプラスを確保し、8カ月連続で増加した。

 海外生産も、前年同月比2.4%増の53万6186台と7カ月連続で前年実績を上回った。地域別で見ると、主要市場の北米は、同11.2%増の19万7825台と2桁%増を記録し、7カ月連続のプラス。内訳は米国が同19.0%増の12万6081台、メキシコが同4.1%増の2万7574台と増加したものの、カナダは同2.9%減の4万4170台だった。「カムリ」や「RAV4」などHEVが堅調の他、前年にリコールで生産を止めていたレクサスブランドの「TX」や「グランドハイランダー」の反動増も発生した。一方、中国は同8.2%減の12万5383台と8カ月ぶりにマイナスへ転じた。新型EV「bZ3X」は好調だが、稼働日が少ないことが響いた。

 中国以外のアジアは、ローン審査の厳格化や追加課税などにより市況が厳しいインドネシアが前年同月比7.8%減の2万1769台と伸び悩み、フィリピンも同15.4%減の4970台と低迷した。ただ、主力拠点のタイは、新型「ヤリスエイティブ」の好調や輸出の増加により同5.2%増の4万8185台とプラスを確保した他、インドも「イノーバハイクロス」や「アーバンクルーザーハイランダー」などの販売増で同6.6%増の3万6274台と増加した。それでも中国の落ち込みをカバーするまでには至らず、アジアトータルでは同3.6%減の25万8923台と7カ月ぶりに前年実績を割り込んだ。欧州は、トルコが同13.5%増と伸長したが、フランスが同21.1%減と落ち込んだため、同0.3%減の3万1148台と微減となり、2カ月ぶりに減少した。

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