レクサスブランドを含めるとトヨタ自動車の車載情報機器で最も大きい画面サイズは横長の12.3型だった。新型プリウスPHVで採用する縦長のタテ型は初採用となる。
画面サイズを12.3型ではなく11.6型としたのは、汎用サイズであり、地上デジタルテレビ放送など動画を見やすい横幅を確保できるためだ。スマートフォンやタブレット端末のように、フリック入力やピンチイン・ピンチアウトでの操作も可能だ。
エアコンの温度やオーディオの音量の調整、デフロスターのオンオフなどは画面の周囲に配した静電容量式のタッチスイッチで行う。振動などの触感フィードバックは搭載を見送った。「大画面で均等なフィードバックを発生させるのが難しかった。触感フィードバックを持たせようとすると、パネルの構造上の理由で光の反射が多くなってしまうのも理由の1つだ」(トヨタ自動車の説明員)。
トヨタ自動車の社内カンパニー「コネクテッドカンパニー」が進める取り組みについても進展が見えた。同カンパニーは、コネクテッドカーを1社だけで開発するのは限界があり、他の自動車メーカーとの協調が必要だという考えの下、次世代の車載情報機器OSとしてオープンソースのAutomotive Grade Linux(AGL)を採用する方針を示しており(関連記事:トヨタのコネクテッド戦略は3本の矢、「IoT時代の製造業の在り方を切り開く」)、新型プリウスPHVのT-Connect SDナビゲーションシステムでは一部ではあるがAGLを採用した。
大部分は非AGLのLinuxで開発したが、一部で車載用としてのニーズを満たしていなかったため、AGLでカスタマイズして開発を進めたという。今回、AGLを採用して開発した機能については、AGLの標準として提案していきたいとしている。
AGL採用と同じ理由で、スマートフォンとの連携基盤についてはフォードが提唱するSmart Device Link(SDL)を採用する計画を明らかにしている。新型プリウスPHVでは採用されていないが、2018年の搭載に向けて開発を進めているという。
トヨタ自動車の説明員は「車載情報機器の工数は増えていく一方で、1社では対応しきれなくなっている。そのせいで機能の進化が遅れればユーザーは不便に感じるし、Appleの『CarPlay』やGoogleの『Android Auto』で十分だと思われてしまいかねない。速く・安く・うまいものを作っていくためには、協調すべき範囲は積極的に協力していきたい」と述べた。
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