東芝は2017年2月14日に予定していた2016年度(2017年3月期)第3四半期(2016年10〜12月)決算発表を延期した。原因は、ウェスチングハウスによる米国CB&I ストーン&ウェブスター(S&W)の買収時にあった「不適切なプレッシャーの存在」である。
東芝は2017年2月14日、同日に予定していた2016年度(2017年3月期)第3四半期(2016年10〜12月)決算発表を延期すると発表した。当局に、四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書を提出しており、これが承認された場合2017年3月14日まで四半期報告書の提出を延長できる。
延長の理由は、東芝による検証手続と独立監査人によるレビュー手続が完全に終了していないためだ。
東芝のグループ会社のウェスチングハウス(WEC)による、原子力発電所の建設と統合的なサービスを手掛ける米国CB&I ストーン&ウェブスター(S&W)の買収に伴う取得価格配分手続の過程において、内部統制の不備を示唆する内部通報が2017年1月8日、19日にあった。そこで事実関係の調査を進めたところ、同年1月28日にWECの経営幹部から「不適切なプレッシャーの存在」を懸念する指摘を受けた。
1月下旬〜2月7日までその経営幹部にインタビューを実施した結果、東芝の監査委員会は、経営者による内部統制の無効化が仮にあった場合には四半期連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があると判断した。
そして2月13日午後、第3四半期の決算を完了させるには、内部通報により指摘されている事実関係に加えて、インタビューで懸念が示された経営者によるプレッシャーの存否やその影響範囲についてさらなる調査が必要との結論に至った。これらの調査には1カ月程度の期間を要するため、四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書を提出したとしている。
なお、現時点では、四半期連結財務諸表に具体的に修正を行うべき事項は認識していないという。
東芝は2016年1月、WECを通じてS&Wを買収。しかし将来見込みの悪化によるS&Wの減損処理のため、数千億円規模の特別損失が発生する可能性が指摘されていた。この特別損失によって、2017年3月末時点で債務超過に陥らないようにするには手元資本を増強する必要がある。
そこで2017年1月27日、主力のフラッシュメモリ事業を分社化し、20%未満を基準として外部資本を受け入れる方針を発表した(関連記事:選択肢がなかった東芝、虎の子のメモリ事業を分社化し株式20%売却へ)。
同日の会見で東芝 社長の綱川智氏は「(追加の対策や原発事業の方向性については)詳細は2017年2月14日の決算発表で説明する」としており、その発表内容に注目が集まっていた。
なお東芝は2017年2月14日18時30分から、あらためて会見を行う予定だ(会見の内容はこちら)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.