NEC サービス事業開発本部長の戸田晴康氏は「NEC the WISE IoT Platformの本質的な価値は“スピードアップ”にある」と強調する。
同社は、数々のIoTプロジェクトの経験から、顧客がIoTシステム構築する際の「デジタルビジネスの要諦」を導き出した。「仮説立案」「仮説検証」「スモールスタート」「事業成長」「堅牢化」という5つのビジネスフェーズに分かれており、NEC the WISE IoT Platformは各フェーズの“スピードアップ”に役立つわけだ。
例えば「仮説検証」のプロセスでは、分析に用いるAIとしてNEC the WISEだけでなく、目的に応じて他社のAIも利用できるようにする。さまざまなセンサーやデバイスからデータを収集するIoTデータ収集基盤も、AIによって効率を高めることが可能だ。
「スモールスタート」で効果を発揮するのが、NEC the WISE IoT Platformの最大の特徴である、共通機能のビルディングブロックだ。「顧客のIoTシステム構築の狙いや有している資産はさまざまだ。これまでは、すり合わせによってIoTシステムを構築していたため時間がかかっていたが、ビルディングブロックを使えば開発期間を短縮できる」(戸田氏)という。
「事業成長」では、各種クラウドの活用や、ビルディングブロックによるポータビリティやスケーラビリティが役立つ。クラウドはNECのクラウドサービス「NEC Cloud Iaas」やオンプレミスだけでなく、Amazon Web ServiceやMicrosoftの「Azure」といった他社のクラウドとも連携させられる。スモールスタートしたIoTシステムを拡張した際に、リアルタイム性の向上やネットワーク負荷分散が必要になれば、クラウドに配置していたビルディングブロックをエッジデバイスに再配置するなどの対応を柔軟に行える。戸田氏は「例えば、NEC the WISEは、クラウドに配置していたAIエンジンを、システム拡張の際にエッジデバイスに再配置することができる。これは、AI技術群だからこそできることだ」と説明する。
この他にも、「事業成長」におけるIoTシステムの将来的な拡張性を確保するため、「マルチコネクティビティ」と「オープンソース採用」をうたっている。IoTでは、5Gをはじめさまざまな通信技術の進化が想定されるが、NEC the WISE IoT Platformではアダプターとなる抽象化レイヤーを挿入して、異なる通信方式やデータ方式の差分を吸収していく考えだ。各ビルディングブロックには数多くの事前検証済みオープンソースを採用している。
「堅牢化」については、クラウドやネットワークの階層のセキュリティだけでなく、携帯電話機の開発などで培ったノウハウを生かしてIoTデバイスに組み込まれるソフトウェアの品質保証やセキュリティ確保を実現していくという。
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