九州大学は、体内の脂肪が酸化される際に生じる「脂質ラジカル」と呼ばれる中間体の検出技術を開発し、脂質ラジカルが肝細胞がん発症に重要な役割を担っていることを明らかにした。
九州大学は2016年6月14日、体内の脂肪が酸化される際に生じる「脂質ラジカル」と呼ばれる中間体の検出技術(蛍光プローブ)を開発したと発表した。さらに、この脂質ラジカルが、肝細胞がん発症に重要な役割を担っていることを明らかにした。同大学大学院薬学研究院の山田健一教授らの研究グループによるもので、成果は同月13日に国際科学誌「Nature Chemical Biology」にオンライン掲載された。
近年、体内の脂肪が「さびる」、つまり酸化されることで、さまざまな病気を発症することが明らかになりつつある。脂肪の酸化過程には、「脂質ラジカル」と呼ばれる極めて高い反応性を示す中間体が生成され、連鎖的かつ爆発的にその傷害を拡散・増幅させる。しかし、これらの中間体は、その高い反応性のために検出や解析が困難とされてきた。
今回、研究グループは、脂質ラジカルと選択的に反応することで発光する蛍光プローブの開発に成功した。同プローブは通常はほぼ無蛍光だが、脂質ラジカルと反応すると緑色の光を発する。
研究グループでは、同プローブにより、脂質ラジカルが肝細胞がんモデル動物のがん発症初期段階に発生していることを確認。また、肝がんモデル動物で、脂質ラジカルの生成を抑制したところ、がん発症が有意に減少した。つまり脂質ラジカルが、がん形成過程において重要な役割を果たしていることを明らかにした。
脂質ラジカルは、生活習慣病など多くの疾患との関わりが推測されるという。この技術をさまざまな疾患に応用することで、疾患のメカニズム解明や新たな予防・治療法の開発につながることが期待されるとしている。
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