NECは、同社の工場で行った実証に基づいて生産現場のデータを収集/可視化し、生産性/サプライチェーン全体の流れや品質の向上を実現する「ものづくり見える化ソリューション」を発売する。
NECは2016年6月21日、IoT(モノのインターネット)を活用した製造業支援ソリューション「NEC Industrial IoT」において、同社の工場で行った実証に基づいて生産現場のデータを収集/可視化し、生産性/サプライチェーン全体の流れや品質の向上を実現する「ものづくり見える化ソリューション」を同年10月から順次発売すると発表した。ベースとなる、NECの自社工場における生産現場の実証では、生産プロセス改善のためのデータ分析時間を20分の1に短縮するとともに、生産性を18%向上したという。
ものづくり見える化ソリューションでは、「スループット見える化」「品質見える化」「オペレーション見える化」という3つの見える化機能を提供する。価格はそれぞれ500万円から。2017年度上期に発売する「物体指紋認証による個体識別」は個別見積もり。同ソリューションを支えるシステム基盤となる「エッジコンピューティングソリューション」も016年度下期に発売する予定だ(価格は個別見積もり)。
スループット見える化では、モノづくりにおける滞留を最少にし、最も短いリードタイムで効率的に製品を製造/供給することを目指す。このために、オーダー滞留状況や積算コストを見える化し、原因を分析して改善活動につなげる。
品質見える化は、5M情報を収集/蓄積し、品質分析やトレーサビリティを実現する。複数の製造条件の相関関係を分析し、不良の原因を特定して品質向上を図る。
オペレーション見える化では、作業員やモノの動きをビーコンやRFIDタグ、画像などによりリアルタイムで把握し、最適なナビゲーションにより現場作業を効率化する。また、動線や滞留ポイントの分析により工程設計や作業手順の改善につなげる。さらにNECの耐騒音 音声認識ソリューション「VoiceDo」により、声による入力/操作/確認を行い、手入力と比べて高い業務効率も実現する。
物体指紋認証による個体識別では人工知能(AI)技術を活用する。画像で部品や製品の個体を識別し、5M情報とひも付けることで、タグ付けが難しいモノについても、個体レベルのトレーサビリティを実現する。個体ごとの詳細な品質分析を可能にし、品質管理/トレーサビリティにかかる時間とコストを低減できるとしている。
エッジコンピューティングソリューションは、IoT技術の進歩によって急激に増加する現場からのデータを統合する基盤になる。「FC98-NXシリーズ」をはじめとしたファクトリコンピュータ/サーバ/ゲートウェイ、AI技術、ExpEther/高信頼無線といったネットワーク技術などにより、多種多様な設備/IoTデバイスとの接続や、設備から収集する大量データ処理などをセキュアかつ高い運用性で実現する。
NECは2015年6月にNEC Industrial IoTを発表して以降、製造業向けソリューションの展開を拡大している。NEC自身が行ってきた生産革新活動やサプライチェーン改革のノウハウなどを提供する「ものづくり共創プログラム」の会員数も、1130社/3426人まで拡大したという。
なお、NECは、「第27回 設計・製造ソリューション展(DMS2016)」(2016年6月22〜24日、東京ビッグサイト)において、ものづくり見える化ソリューションを紹介する予定だ。
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