NECがモノづくりのノウハウ提供を拡大、3Dプリンタ試作やM2M、デザインも製造ITニュース

NECが開催する「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2013」の記者向け内覧会が開催。同展示会では、「ものづくり共創プログラム」をはじめとする、数々の製造業向けソリューションが披露される。

» 2013年11月13日 14時30分 公開
[三島一孝,MONOist]
NEC

 NECは2013年11月13日、同社ユーザー企業などに最新技術などを紹介する「C&Cユーザーフォーラム & iEXPO2013」(2013年11月14〜15日)開催に先立ち、記者向け内覧会を開催した。同展示会で「製造業向けソリューション」ゾーンを設置し、2012年から展開している「ものづくり共創プログラム」の実績や広がりなどを中心に紹介している。

 NECの「ものづくり共創プログラム」は2012年10月に開始。NECが行ってきた生産革新やサプライチェーン改革のノウハウを、「モノづくり・業務プロセス」とそれを支える「ITシステムおよびアセット」という2つの視点から提供するというもの。モノづくりのプロセス改革やITシステムの導入、コンサルテーション、モノづくりのノウハウ提供まで、モノづくりに関連する全ての領域をカバーし一貫してサポートできることが特徴だ(関連記事:モノづくりを丸ごとサポート!――NEC、「ものづくり共創プログラム」を出展)。



 NEC 第一製造業ソリューション事業部販売促進グループ長 関行秀氏は1年間の活動の手応えとして「製造業からの引き合いは非常に強い。モノづくりのノウハウに関する情報共有を行うユーザー会の会員数も順調に拡大し、会員企業は300社以上となっている。さらにノウハウ提供の幅を広げていく」と語っている。

 今回はこのものづくり共創プログラムの価値をあらためて訴えるとともに、新たなノウハウ提供を開始した分野などを紹介した。

3Dプリンタ試作サービスを開始

 新たなサービスとして、3Dプリンタの試作サービスを開始する。携帯電話端末などを製造する埼玉日本電気において、導入している3Dプリンタを活用。CADデータを受け取り、3Dプリンタで造形して発送するサービスを行う。

 既に3Dプリントサービスなどは多くの企業が行っている他、3Dプリンタの試作活用なども広がりつつあるが「3Dプリンタを使って効果的な試作を行うにはそれなりのノウハウが必要になる。埼玉日本電気では3Dプリンタを12年前から活用しており、携帯電話端末などさまざまな変化やスピードで活用してきた実績がある。これらを生かしてより製造業にとって必要な形の試作サービスとしていく」と関氏は語っている。

 埼玉日本電気では同時に落下強度、回路、熱などのシミュレーションサービスも行っており、3Dプリントサービスと組み合わせ、総合的な試作サービスとしての展開を進めていく方針だ。

3dプリンタ造形物 試作サービスに活用3Dプリンタ。ストラタシスの「EDEN350V」を活用(左)と実際の造形物(右)埼玉日本電気では12年前から3Dプリンタの試作活用を行っているという(クリックで拡大)

M2Mの導入実績を拡大

 また製造業向けM2Mソリューションでも実績を拡大しているという。新たに東芝機械など大手企業への導入も進み、本格的に勢いが出てきたという。

 「当社は検討、トライアル、商用開発、商用化までの一連のソリューションを一貫して提案できることが強み。必要になるデバイスや組み込み開発までも請け負える。M2Mはビジネスモデルをどう描くかが非常に重要になるので、コンサルティングの部分が非常に重要になる」と関氏は語る。特に産業用機器や大型機械、自動販売機、農業関連での実績が拡大しているという。

デザインソリューションもビジネス化

デバイス アマダの金属加工機器のインタフェース改善での導入において、開発したタッチパネルデバイス。「要件に合うデバイスがない場合、自社で開発できるのもNECの強みだ」と松田氏は語る。

 また、NECの持つデザインでの知見を生かしたデザインソリューションの提案も本格的に進めているという。NECではユーザーエクスペリエンス(個人の使用感)視点でのデザインノウハウに加え、社会インフラ事業などで培ったソーシャルエクスペリエンス(社会的な価値)視点でのデザインノウハウを蓄積している。これらの知見を合わせたものを「ソーシャルバリューデザイン」とし、デザイン策定やビジュアル、組み込みシステムなどを含めた表示方法やデバイスなど、これらを組み合わせたソリューションとして提案する。

 既にアルゼンチン・ティグレ市の「2030年ビジョン」の受注をするなど、実績を徐々に広げつつあるという。NEC サプライチェーン統括ユニット 生産本部 デザイン戦略・商品企画グループ 主任の松田崇氏は「もともとは組み込みデバイスソリューションの一環として提案してきたが、あらためて“デザイン”を基軸とした提案として進めていく。デザインを考案するコンサルテーションなどの他、組み込み開発やデバイスまで総合的にサポートできることが強みだ」と語っている。

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