「第25回 設計・製造ソリューション展(DMS2014)」では、大手製造業が自社のモノづくりのノウハウを、パッケージ化し外部に提供しようという動きが活発化。各社の取り組みを紹介する。
「第25回 設計・製造ソリューション展(DMS2014)」(東京ビッグサイト、2014年6月25〜27日)では、大手製造業が持つモノづくりのノウハウをパッケージ化して外部に提供するソリューションが数多く登場。各社が出展したソリューションを紹介する。
大手製造業が自社の製造業としてのノウハウを外部に提供する動きは以前からあったものの、ここ数年活発化している。2012年10月から、NECが「ものづくり共創プログラム」として、自社実践の成果を基に、モノづくりのプロセス改革やITシステムの導入、コンサルテーション、モノづくりのノウハウ提供までをカバーし一貫してサポートする取り組みを開始。富士通も同時期に「ものづくり革新隊」として、富士通の持つICTの力と、同社が工場で培ったノウハウを組み合わせて外販する取り組みを進めている(関連記事:システムだけじゃイヤ!――「だったら丸ごと面倒見ます」NECと富士通が製造業サポート事業を強化)。DMS2014では、これら2社を含めてさらに多くの製造業が、自社実践ノウハウを提案した。
NECの「ものづくり共創プログラム」は、自社で培った生産のノウハウを生かし、モノづくりのプロセス改革やITシステムの導入、コンサルテーションなど、モノづくり革新活動を一環してサポートするソリューションサービス。課題の発見や解決策、モノづくりのノウハウ提供まで一貫して提供できることが特徴だ。実際に工場現場の担当者を顧客工場に派遣するなど、一体となって生産革新に取り組む。
DMS2014では、「ものづくり共創プログラム」のコンセプトをさらに広げ、設計・開発関連に向けたソリューションとして「ものづくりアセットソリューション」を体系化したことを訴求。従来は製造関連でのソリューションが中心となっていたが、人間中心設計など設計・開発現場の改善についてコンサルティングなどを進める。設計・開発から製造までを一連のソリューションとしてカバーしていく方針だ。
また、自社で採用しているCAE関連の負担を軽減するソリューションなども提案。Excelにデータを入力するだけで簡単な熱計算が行え、実際にCAEを利用する際の当たりを付けられる「熱計算サービス」や、設計・開発の上流で、月額数万円程度で簡易な熱検討を実現できる「熱設計クラウド」などを紹介した。
NEC 第一製造業ソリューション事業部 ソリューション推進部 エキスパートの黒田正洋氏は「設計体制の改善やシミュレーション、評価、試作など、従来は個々でサービスを行ってきたものを体系化して提供する。製造部門と合わせ、設計・製造部門でも、付加価値の高いモノづくり支援を進めていく」と話している。
富士通はグループ企業であるデジタルプロセス(DIPRO)と共同で、「VPS(Virtual Product Simulator)」や「GP4」などのシミュレーションツールを出展。「VPS」はコンピュータ内に3次元のバーチャル試作機を創り出し、各部門で共有・活用することにより、実機(試作機)に頼らないモノづくりを可能とする製造プロセスシミュレーターだ。一方の「GP4」は製造作業を最適化するための生産ラインシミュレーター。どちらも自社工場などに導入し実績を上げているものだ(関連記事:富士通のPC工場、勝利の方程式は「トヨタ生産方式+ICT活用」)。
またVPSによる設計データのシミュレーションだけでなく、製造で利用するロボットの制御データなどもシミュレーションできる先進のデモを披露した。富士通 産業・流通営業グループ ものづくりビジネスセンター ものづくり革新ビジネス推進部 IP Directorの加藤朗氏は「モノづくりの姿はICTの力により大きく変わろうとしている。ICTの進化により、設計から生産の直前まで試作を作らずにシミュレーションできる時代が身近に来ている」と話している。
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