早稲田大学が手掛ける8台目の電動バス、WEB-3 Advancedの開発で課題となったのは、高コストで搭載性が低いワイヤレス給電装置の見直しだ。これまでのWEBシリーズでは電磁誘導方式を利用していた。電磁誘導方式の装置は受送電コイルの寸法に対して送電可能距離が短く、大型の受電コイルを車両に搭載する必要があった。また、この受電コイルはバスなど商用車にしか搭載できないサイズだったため、乗用車の部品としての量産展開によるコストダウンが見込みにくかった。
WEB-3 Advancedは、小型のコイルでより長距離の送電が可能な磁界共鳴方式のワイヤレス給電を採用した。送電コイルと受電コイル間の距離が10.5cmの時に、44kWの出力でワイヤレス給電が可能だ。この受電コイルを車両に2つ搭載することで出力を確保している。許容位置ズレ性能は±10cm以内としている。充電効率は現時点では非公開。給電装置は東芝が新規に開発したものだ。量産しやすいモジュール構造で設計し乗用車にも搭載可能なサイズとしたことで、量産効果による低コスト化の見通しも立ちつつある。
WEB-3 Advancedは、日野自動車の小型バス「ポンチョ ロング」をベースに、UQM製で最大出力が145kWの駆動用モーターを搭載している。バッテリーのリチウムイオン電池「SCiB」とワイヤレス給電装置は東芝が提供した。バッテリーの総容量は40kWhで走行距離は最大50kmとなるが、小まめな充電を前提としているので不足はない。車両製作には電気自動車や燃料電池車などの開発/生産を手掛けるフラットフィールドが協力している。車体重量はベース車両が5710kgなのに対し、WEB-3 Advancedは5990kgで重量増を280kgに抑えた。
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