東芝は、磁界共鳴方式のワイヤレス充電システムと同社のリチウムイオン電池「SCiB」を搭載する電気バスを開発し、全日本空輸(ANA)の社用バスとして運用する実証実験を行うと発表した。
東芝は2014年5月7日、磁界共鳴方式のワイヤレス充電システムと同社のリチウムイオン電池「SCiB」を搭載する電気バスを開発し、全日本空輸(ANA)の社用バスとして運用する実証実験を行うと発表した。
この実証実験は、東芝と早稲田大学理工学術院教授の紙屋雄史氏が共同で提案した「EVバス早期普及にむけた充電設備を乗用車と共有するワイヤレス充電バスの実証研究」が、環境省の「平成26年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の委託先として採用されたものだ。
電気バスの設計/開発は2014年度中に行い、2015〜2016年度にかけて実証実験を行う。実証実験は、ANAの拠点があるキングスカイフロント地区(川崎市川崎区)内の路線や、同地区と羽田空港周辺を結ぶ路線などで行う計画である。なお、キングスカイフロント地区は、羽田空港の国際線ターミナルから多摩川を挟んだ向こう岸に位置しており、国際戦略総合特区にも指定されている。
電気バスは、中型と小型の2種類を開発する計画。ワイヤレス充電システムは、バスの高い車高に対応するとともに、駐車場などに設置する送電モジュールと車両に搭載する受電モジュールの位置ずれの許容範囲も広くとれるように磁界共鳴方式を採用する。送電モジュール/受電モジュールの巻き線コイルの構造を工夫して共振用コンデンサを内蔵することにより、小型化と軽量化を実現するという。また、電気自動車(EV)のワイヤレス充電システム向けに国際標準化が進む周波数を使用し、電気バスとEVのワイヤレス充電システムの共用による効果も検証する。
東芝は2014年3月に、磁界共鳴方式を用いた7kW出力のワイヤレス充電システムを開発している。同システムは、垂直方向に17cm離れた送電モジュールと受電モジュールの間でワイヤレス充電が可能で、左右方向の位置ずれの許容範囲は他社システムの約1.7倍となる25cmを実現していた。今回の電気バスは、この成果を基に開発したワイヤレス充電システムを搭載する見通しだ。
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