今回は、有機薄膜センサーの他に、受光部のフォトダイオードにAPDを導入したAPD-CMOSセンサーも発表している。こちらの開発は、パナソニックのオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社が担当した。
従来のCMOSセンサーでは、光電変換によって生成される光電子は、撮像時の明るさに比例する。暗い場所では発生する光電子が少ないので、ノイズレベルに近くなって鮮明な撮像ができなかった。そこで、光電変換で生成された光電子を増倍させるために、微弱な光(少ない光子量)から大きな電気信号を取り出せるAPDを設け、増倍された多量の光電子を蓄積領域に蓄積できるようにした。APDの導入により、暗い場所の少量の光電子を1万倍に増倍できる。APDによる光電子の増倍は、カラーフィルタを透過した色情報を持つ光電子にも適用されるため、APD-CMOSセンサーであれば暗い場所でも高感度で撮像可能だ。パナソニックでは、星明かり程度の照度(0.01ルクス)で、高感度のカラー撮像を確認している。
また、APDへの印加電圧を制御すれば、光電子の増倍を制御できる。明るい場所では光電子をそのまま、暗い場所では光電子を1万倍に増倍して出力することができ、さらには明るさに応じて感度を可変して、星明かりと街灯が混在する明暗差の大きいシーンの鮮明な撮像も可能になる。
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