図面にも触れたことのないような初心者を対象とした、図面の読み方・描き方講座。お題をクリアしながら、解説を読み進めていくことで、いつしか図面の読み描きができるようになる! 今回は、集大成として設計から製図までの一連の作業に挑戦する。
皆さん、こんにちは!
前回の「『図面に寸法を入れて仕上げてみよう』の巻」では、途中まで出来上がっている第三角法の図面に、寸法を記入して仕上げるまでの流れを解説しました。
ここまでの内容で、図面の読み描きに関する基本的な部分はお伝えしましたので、今回は集大成として、前回までの流れを振り返りながら、
の一連の作業にチャレンジしていきましょう! なお、今回はいつもの“お題”ではなく、解説の途中で“クイズ”を出していきますので、その答えを考えながら作業を進めてみてください。
まずは、前回の宿題の答え合わせから始めましょう。図1がお題のポンチ絵です。そして、宿題の内容はこのポンチ絵を加工者に渡せる「図面」にすることでしたね。
まず、このポンチ絵をよく観察して、これが何に使うものなのかを考えてみましょう。
いかがでしょうか? ポンチ絵の情報から「MCナイロンという材料を使って、厚さ1.0mm、30×30mmの板状の部品らしきものを入れるためのトレーを作るのだ」と察することができますよね。
ポイントは、次の2点です。1つ目のポイントは、30×30mmの物体をすんなりと入れるために、31×31mmのポケット加工(へこみを作る加工)が必要だということです。そして、2つ目のポイントは、入れる部品の角が直角になっているので、ポケット加工部分の4つの角には「ニガシ」と呼ばれるφ2の穴が必要になるということです。
これは、連載「ママさん設計者がやさしく教える『CNCフライス超入門』」の第3回「ペットのネームプレートを設計してみましょう」の中でも説明したのですが、ポケット加工する際の工具(エンドミル)は円筒形をしているので、ポケットの内角を直角に仕上げることができません。この状態のままでは部品を入れたくても入れられません……。こうした現象のことを「干渉」といいます。
干渉を解消するには、ポケット加工の内角をポケットの外側まで削り込みます。すると、部品側の直角の居場所を確保できるわけです。この削り込みを「ニゲ(逃げ)」や「ニガシ(逃がし)」と呼びます。文字通り「干渉しないように逃げ場所を作ってあげる」わけです。このニガシの大きさは、小さ過ぎると意味がなく、ムダに大き過ぎると問題になることもあるので、「φ2」のように寸法を記載すると加工者に親切です。
2つのポイントが理解できたら、頑張って製図します。こちらが正解の図面となります(図2)。
さらに、これをテンプレートに張り、加工者に渡せる図面に仕上げたものが図3になります。
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